今春全線再開「常磐線」懐かしの列車と沿線風景 L特急や寝台列車の撮影に通った沿線は今

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駅の反対側の商店街に向かうと、ここも駅前通り50mほどで立ち入り禁止になる。駅と大熊町役場を結ぶシャトルバスが停車していたので運転手に尋ねると、「この大野地区の被ばく量が最も多く、放射線量は0.3マイクロシーベルト前後の地点が多い」という。駅エレベーター横の線量計は0.349マイクロシーベルトを表示していた。

夜ノ森駅付近の立ち入り禁止区域(筆者撮影)

夜ノ森駅は掘割の中を線路が伸び、つつじが美しい駅だ。筆者はかつてL特急や、夏場の陽が長い時期には寝台特急「ゆうづる」などを撮りに来た思い出がある。今は木造の駅舎は撤去され、新しい駅舎とホームが新設された。

線路の西側は2年前に避難指示が解除されて道路は通行可能だが、東側は桜並木に通じる道路のみが解除され、居住地域はバリケードが張られ立ち入り禁止になっている。1時間ほどの駅滞在だったが人影はなく、通路に掲げられた地元富岡町の小学生による「桜咲け つつじ咲け 夜の森」の垂れ幕が一服の明るい希望を投げかけていた。

新駅は列車のビュースポットに

次いで、今春再開した区間の3駅の1つ、双葉駅を訪れた。駅は旧駅に隣接した新駅として生まれ変わった。新しい双葉駅はガラス張りの明るい駅舎で、改札口の両方向からは駅に進入してくる列車のビュースポットになっている。このあたりの放射線量は0.086マイクロシーベルトだった。

双葉駅周辺は帰還困難区域内の特定復興再生拠点区域で、2022年春ごろをメドに避難指示解除と住民の帰還開始に向けた取り組みが行われ、駅西側では大規模な集合住宅の建設が進んでいる。

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