"空飛ぶ三陸鉄道"天草エアラインの変革力 これが地域航空会社の生き残りのヒントだ
まずは天草を知ってもらうのが先決と、地元観光協会や自治体、それに天草エアが中心となって企画したのが、世界中のサンタクロースを一堂に集めたイベント「サンタクロース会議」だった。
天草市は16世紀にキリスト教が伝来し、鎖国時代の禁教の中でもクリスマスを祝っていた。そんな歴史を踏まえて、2013年9月に初めて天草で開催した。その際の話題づくりに一役買ったのが、天草エアの「サンタ特別便」。イベントに参加する世界のサンタを同社の飛行機で運ぶというものだ。
これが話題となり、天草空港には開港以来の人が押し寄せた。サンタには、男性の場合、体重120キロ以上という規定がある。サンタ全員は何とか飛行機に載せられたが、荷物を含めると重量オーバーとなってしまう。そのために荷物を急遽陸送にしたことは、今となっては笑い話だ。
機体目当ての利用者も
利用者のハートをつかんだのは、機内サービスや話題作りだけではない。
天草エアの機体は、カナダのボンバルディア社のDHC-8-103型機。初就航から使っている機体であるが、2012年の機体デザインコンテストで現在のデザインになった。
プロペラ機を親子イルカに見立てたデザインで、かわいらしいと評判に。この機体を目当てに天草エアを利用する人も増えてきており、各便の出発時や到着時に機体を携帯カメラで撮影する人は多い。
アイデアマンの奥島社長はほかにも、熊本―伊丹線の機内サービスとして冬場はポンカンを提供したり、今年2月には1日中、同社の全フライト(天草発10区間もしくは福岡発8区間)を乗りっぱなしで空の旅を楽しむ「パラダイス運賃」(発売終了。200枚近くが売れた)を企画した。次の一手は、釣りが趣味という社長が天草で釣った鯛を搭乗者に抽選でプレゼントする企画などを検討中だ。
他社にない独自色を次々に打ち出すことで、地域のライフラインとしてだけでなく、観光列車ならぬ、観光エアラインという新しいジャンルの航空会社としても存在感を示せる。天草エアラインに地域航空会社のあるべき姿を見た気がする。
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