コロナ禍での「鉄板国策化銘柄」とはどこなのか お金が流れる方向に投資の大チャンスがある

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さらに、省庁ごとに「オンライン比率の引き上げ目標」を設定することも打ち出した。世界的にDX(デジタル・トランスフォーメーション:デジタルによる変革)の流れが加速する中、IT競争力12位(世界経済フォーラム)、電子政府ランキング14位(国連)、ビジネス環境ランキング29位(世界銀行報告書)という日本の現状を考えれば、行政が本気でデジタル化に取り組むことが、日本経済の先行きを大きく左右すると言っても過言ではないだろう。

デジタルガバメント関連企業には大きなスチャンス

このように、行政分野では「デジタル後進国」と言われても仕方がない日本で政府が本気で取り組みを進めるなら、関連分野でビジネスを展開する企業にとっては、今後のビジネスチャンスが中長期にわたって広がることになりそうだ。

まずは、デジタルガバメントの根幹をなす中央省庁のシステム更新に関しては、NEC(6701)や富士通(6702)、NTTデータ(9613)や野村総合研究所(4307)などが注目される。また、自治体向けのシステム構築や業務システムの開発に関わるスマートバリュー(9417)やアイネス(9742)などは自治体向けの需要増が早期に業績に寄与することが期待される。

さらに、行政手続きにおける現場の業務の効率化、負担軽減に向けてはクラウドで各種サービスを提供する企業にも活躍の余地が広がるだろう。例えば経費の精算など業務効率化システムを提供するラクス(3923)、紙とハンコに頼らずオンラインで手続きが可能になる電子契約サービスの弁護士ドットコム(6027)、手書きの文字をAI(人工知能)を使って読み取りパソコンに自動入力するサービスのAI inside(4488)などだ。

これらの企業が提供するITを活用したサービスは、クラウド型でインターネットを通じて必要な分だけ活用することができるので、小規模の自治体などにとっては少額の予算でも導入しやすい。またすぐに現場の業務に貢献してくる。

コロナ感染拡大の状況は、国内でも海外においても先行きが見えにくいが、米中対立の深刻化やイギリスのEU離脱問題、そして8月の共和党・民主党それぞれの党大会を経て一気に関心が高まりそうなアメリカ大統領選など、株式市場の波乱要因はほとんど海外に起因する。

コロナ禍が続く状況では、海外情勢の影響を受けにくく業績が堅調なデジタルガバメント関連の企業は、安心感のある投資対象として注目度を増していきそうだ。世界の中心であるアメリカ株式市場では、ITで世界を制覇するような大型ハイテク株の派手な値動きが目立つ。しかし、今こそ日本株に関しては、“国策に売り無し”という相場格言を思い出して、地味でも「内弁慶型の企業」をじっくりと見直してみたい。

有沢 正一 岩井コスモ証券 投資調査部長

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ありさわ しょういち / Shoichi Arisawa

1981年大阪府立大学経済学部卒業。1989年岩井証券入社、株式部、調査部などの勤務を経て、2003年イワイ・リサーチセンターセンター長。2017年5月より現職。日本証券アナリスト協会検定会員。株式投資の対象として有望な企業を発掘するため、関西を中心に企業の調査・分析に取り組むかたわら、個人投資家向けに月10回ペースで株式セミナーの講師を務める。

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