無免許運転「私有地」では罪に問われないのか バスの運転手が未成年に空き地で運転させた
より具体的には、無免許運転や飲酒運転の規制が適用されるかどうかについては、
・客観的・継続的・反復的に利用されているかどうか
・不特定多数の人や車の通行が許されているかなどから道交法上の「道路」といえるかどうか
から判断されます。
――マンションなどの駐車場はどう考えられますか
私有地であっても、マンションの駐車場や店舗の駐車場については、道路の体裁のあるところが多いでしょうし、客観的にも継続的・反復的に人や車両が利用していることが通常です。
また、マンションの駐車場の中には、居住者以外の不特定多数の人や車両が利用するところもありますし、店舗の駐車場(特に大型の商業施設など)については通常不特定多数の人や車両が利用すると考えられます。
そうしますと、マンションの駐車場や店舗の駐車場については、具体的な事情にもよりますが、道交法上の「道路」にあたり、無免許運転や飲酒運転の規制が適用されると判断されるところが多いでしょう。
――田んぼの場合はどうでしょうか。
他方、田んぼについては、道路の体裁がないことが通常でしょうし、客観的・継続的・反復的に人や車両が利用することも考えられません。
また、通常は特定又は少数の人や車両(コンバインなど)の利用しか考えられません。そうしますと、田んぼは道交法上の「道路」とはいえず、無免許運転や飲酒運転の規制が適用されないと判断される可能性が高いといえます。
今回のケース、法的に問題ない可能性
――今回のケースは、仙台市交通局が所有する空き地でバスを運転させたそうです。
今回問題となった「バスの方向転換のために使われるだけの空き地」(車庫の跡地)については、バスの方向転換のために使われている車庫の跡地ということですので、道路としての体裁はあったと考えられますし、客観的・継続的・反復的にバス等による利用があったとも考えられます。
もっとも、車庫の跡地であり、バスの方向転換のために使われる「だけ」であることからしますと、不特定多数の人や車両が利用しているとは考えられないでしょう。
以上からしますと、今回問題となった車庫の跡地については、道交法上の「道路」とはいえないと判断される可能性が高いでしょう。
道交法上の「道路」でないとすれば、今回問題となった車庫の跡地における無免許運転や飲酒運転は法的に問題がないことになります。
和氣 良浩(わけ よしひろ)弁護士/2006(平成18)年弁護士登録 大阪弁護士会所属 近畿地区を中心に、交通・労災事故などの損害賠償請求事案を被害者側代理人として数多く取り扱う。
事務所名:弁護士法人和氣綜合
事務所URL:http://www.wk-gl.com/
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