医師の過重労働 江原朗著
医師不足を原因とした病院の閉鎖・縮小、救急患者の受け入れ不能が全国で相次いでいる。本書は主に小児科医療の検証を通じて、医師不足の根底にある医師の過重労働の実態を多面的に解明した数少ない労作だ。
特に、長時間労働に起因する医師の過労死や過労自殺の実態、医療事故など安全面への影響についてのここまで詳細な検証は、ほかに例がない。
医師の労働時間については、日本のみならず、欧米の実情についても詳しく触れている。著者は数多くの文献調査や情報公開請求を通じ、日本の多くの医師が異常な長時間労働を強いられている実情を指摘。過労死・過労自殺の労災認定申請が小児科医や産科医で多いことも明らかにした。
そして過重労働の解決には、不必要な夜間・休日の「コンビニ受診」の抑制のみならず、医師の重点病院への集約化が必要だと指摘する。医療を守るためには、国民の努力が必要だというのが一貫した主張だ。
勁草書房 2625円
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