アメリカの「無印」破綻にみる拡大路線のひずみ 海外展開を加速も、欧米はコロナ前から苦戦

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アメリカ子会社の2019年度の売上高は約110億円で、良品計画の連結売上高に占める比率は2.5%程度。世界31の国と地域に店舗を広げる良品計画だが、海外売上高の7割超は中国などの東アジア事業で稼いでおり、アメリカ事業のチャプター11申請に伴う業績への直接的な影響は少ない。

とはいえ、世界トップの経済大国であるアメリカは、海外戦略を強化するうえでは重要な市場。日系ブランドでは現地に50店舗を展開するユニクロも、店舗立地によって売り上げのばらつきが大きくアメリカ事業は赤字が続いている。

ある小売り企業の幹部は「アメリカは特にここ数年、EC(ネット通販)も急速に拡大し、市場環境の変化がめまぐるしい。直営店の出店は立地の選定が非常に難しく、リスクの高さから一歩を踏み出しづらい」とこぼす。

こうしたアメリカ特有の市場環境の難しさに良品計画も直面した。松﨑社長は「アメリカではこの2~3年で小売業の(経営)状態が大きく変わり、それを把握できなかった。2017年に契約したショッピングセンターのお店では、私どもが入ってすぐに周り(のテナント)がいなくなるということも起きていた」と話す。

一方でアメリカ事業が頓挫した背景には、良品計画の経営戦略上の問題も無視できない。同社幹部によるとアメリカの店舗のうち不採算店はおよそ3分の1程度で、その多くがここ数年内に開業した店舗だ。中でも現地でのブランド認知度向上をもくろみ、ニューヨーク59丁目など家賃の高額な立地への大型店の出店を広げたことがあだとなった。

甘かった大型店の出店分析

日系ブランドでいち早く海外展開を進めてきた無印は、海外でも「一店一店で黒字化を図る」という堅実な経営姿勢が特徴だった。海外事業で陥りがちな採算度外視の経営を回避するため、同社では国ごとの市場環境に合わせた独自の出店基準を作り、その条件に照らし合わせて出店候補地の妥当性を検証する作業を徹底してきた。

松﨑社長はアメリカの出店について、「大型店を出店することに傾注して分析が十分にできていなかった」と反省する(記者撮影)

ところが2017年に発表した2021年8月期までの中期経営計画で、「世界店舗数1200店」(今年2月時点で1033店)や「主要国での旗艦店拡大」などを目標に掲げたこともあり、最近は一等地への大型店の出店が目立つようになった。アメリカでの出店戦略については、「通行量調査などに基づき出店計画委員会で決裁はしていたが、大型店を出店することに傾注して分析が十分にできていなかった」(松﨑社長)。

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