デジタル化で幹部のキャリアパスに大異変! 日本企業の命運は「変革ミドルの育成」が握る
では「デジタル人材」はどのような志向性を有していて、従来の「ゼネラリスト型人材」とどう違うのでしょうか。
野村総合研究所(NRI)では2020年2月Web アンケート形式にてデジタル人材(デジタルビジネスに直接的に関与している社会人)、非デジタル人材(上記以外)に対して、ワークモチベーションの違いを分析しましたが、驚くべき結果が判明しています。
従来、デジタル人材の獲得やリテンションにおいて、話題になっていたのはスキル次第では高額な報酬が支給されている点でした。大学や大学院においてAIやデータサイエンスを学んだ学生には、新卒社員であっても1000万円以上の初任給を提示する企業も今や珍しくなくなりました。
しかしながら今回のWebアンケート結果が示したのは、デジタル人材は「働く企業の経営理念やビジョンが自らの価値観に合致するか」といった点や、「その企業や組織の組織風土やマネジメントスタイルのあり方」に共感できるかといった点がワークモチベーションに影響を及ぼすといった点です。
もちろん報酬に対する関心度は高いのですが、非デジタル人材と比較すると明らかにデジタル人材には経営理念・ビジョン、そしてマネジメントスタイルへの関心度が高いという結果となっています。
企業の上位概念やマネジメントスタイルをどのように社内のデジタル人材に対して打ち出していくかが、魅力的な報酬水準と同様に人材マネジメント上重要な課題となるのです。このような課題をどう方向付けしていくかは人事部門の役割というより経営課題として取り組む必要があるといえるでしょう。
DXを実現する組織・人材戦略
デジタルを活用して新しいビジネスを創出したり、既存の業務プロセスを抜本的に変革する、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)を実現するためには、デジタル人材を獲得するだけでは成果につながらないということを多くの企業が実感しています。
その実現に向けては、デジタルの専門知識・専門スキルを持つデジタル人材が、自社のビジネスや顧客に対して専門知識や経験を有するビジネス人材が「共創」した状態を作ることが不可欠です。
私たちはこの「共創」を生むためにはデジタル人材とビジネス人材双方を率いるミドルリーダーが必要だと考えています。そして、DXを進める過程で生ずるさまざまな軋轢やコンフリクトを経営者自らが既存の価値観や秩序にとらわれることなく乗り越える先頭に立つ必要があるのです。
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