「大阪の観光業」コロナ終息後に盛り上がる根拠 外国人旅行客を「5年で3倍」にした高い潜在力

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2016年に民営化された関西国際空港は、運営権が関西エアポート株式会社に引き継がれ、2017年にLCC(格安航空会社)専用の第2ターミナルがオープンしました。

当空港がアジアからのLCCのハブとなるべく、11カ国31都市を結ぶ航路が就航しています(2020年4月時点)。これは成田空港の18都市を大きく上回っており、関西国際空港の2019年度総旅客数は3000万人を超える見込みです。

とくに、アジアからのアクセスを容易にしていることで、目下の訪日客拡大を生んでいます。直近の計画によると、ターミナルの改修により、2025年までには年間4000万人までの受け入れ拡大が想定されています。

関西国際空港がこれほどまでの人気空港になったのは、アジアの発展とLCCの就航が関係していることは間違いありません。アジアの新興国が豊かになるにつれて、こうした国々でも海外旅行が盛んとなり、日本へ旅行したい人が増加しています。

そして、アジア各国から関西までのフライト時間は、東京よりおおむね1時間ほど短くなります。欧米からの10時間前後のフライトの場合、1時間は大した差ではないのですが、アジアからだと数時間で日本に来られる国もあり、こうした国にとって1時間の差は大きなものがあります。さらに、LCCは通常の飛行機よりも席の間隔が狭めであるので、少しでも早く外に出たいという旅行者も多いようです。

インバウンドが拡大する2010年くらいまでは、寂しい空港でしたが、最近は土産物屋やレストランも増えて、世界有数の空港に成長しています。コロナ終息後には、その底力が再び発揮されることが期待されます。

民泊室供給量は全国トップ

2016年に国家戦略特区として、大阪市が民泊条例を施行し、簡易的な民泊運営ができるようになりました。2017年に宿泊期間が最低2泊3日まで引き下げられたことで、はずみがつき、特区民泊の大阪市の居室数は1万室レベルになってきています。これは、全国でも圧倒的にトップの民泊室供給量です(ちなみに2位が東京都大田区の572室  ※居室数は2019年8月末時点)。

古い歴史を持つ関西は、文化的な遺産を多数抱えています。まず、ユネスコの世界遺産をみると、日本国内認定案件23件中6件が関西地区です。

「法隆寺地域の仏教建造物」「姫路城」「古都京都の文化財」「古都奈良の文化財」「紀伊山地の霊場と参詣道」に加えて、2019年には大阪府としては初めての世界遺産となる、「百舌鳥・古市古墳群」が選出されました。

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