空港検疫「コロナ陽性じわり増」の先に待つ懸念 成田空港では時給2500円でPCR検査官を募集

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それが5月に入ると、入国者数自体が減少したため陽性者は1日平均1.4人程度まで減少。だが、緊急事態宣言の解除後の5月末以降に再び増加し、6月は平均4.1人まで増えてきた。その内訳を見ると、ブラジル、パキスタン、フィリピンなど、感染が深刻な地域からの帰国者が多く、外国人が8割を占める。陽性者は、症状があれば居住地の保健所の指示で入院。熱や咳などの症状がないときは、政府指定の成田空港周辺のホテルで隔離となる。

空港での「第2波」ともいえる現状を前に、検疫所には不安が広がる。「現場が運営に慣れてきたので4月のような混乱が生じることはないでしょう。ただ、検疫所のマンパワーには限界がある。成田の1空港だけを考えると、現状より1日当たり、あと250人くらい入国者が増えるとあふれてしまう」(前出の検疫所担当者)。

そこで、国際線の受け入れを行う成田、羽田、関西国際空港の検疫所では、国際線を常時受け入れていないほかの空港の検疫所から応援を受けている。それでも人員が足りないため、成田空港のホームページ上では、献体の検査やデータの整理などを担う検査課の臨時職員を募集している。時給は2500円だ。

検体採取が簡単な唾液検査も7月から導入

検体の採取が簡単な唾液検査の導入も7月から始まった。唾液検査は国内の医療機関では症状のある人にしか認められていないが、空港検疫で無症状者にも解禁された。鼻の奥から検体を採取する鼻腔検査では、くしゃみや咳が飛び散ることがある。そのためゴーグルや防護服などの装備と、技術的な習熟が必要だ。しかし唾液検査では検査を受ける人が容器に唾液を入れればよい。

人員の増強と検査手法の多様化。それでも検疫所の負担が増えていくことは避けられない。政府が、コロナの感染が落ち着いている一部の国との間で出入国規制を緩和するために交渉を進めているからだ。

その第1弾として、ベトナム、タイ、ニュージーランド、オーストラリアの4カ国と、7~8月にもビジネスや技能実習目的に限った往来で、最終調整を進めている。日本からはビジネスなどに限った目的での渡航が可能になる。

入国は、1つの国につき1日当たり250人前後から始め、徐々に拡大していく方向だ。入国者は空港に到着すると、全員が検疫所でPCR検査を受ける。複数の医療関係者は「入国者が増え続ければ、検査態勢が追いつかず、『検疫崩壊』が起こるのではないか」と危惧する。

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