女子ゴルフ「4カ月遅れの開幕戦」が示した未来 4日間合計の中継視聴回数は670万を突破

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もう1つ、今大会で特徴的だったことは、トーナメント中継だ。地上波を使ったテレビ中継でなく、YouTubeを使って大会4日間が無料で生中継されたのである。

インターネット中継はトーナメント全体中継、注目ホール中継、9番パー3中継、選手インタビューの合計4チャンネルが用意された。生中継にはCMが入らず、刻々と変わる試合状況を中断なく見ることができた。

優勝争いは最終日、鈴木愛と渡邉彩香のプレーオフに突入した。この白熱の戦いを余すところなく、リアルタイムで勝負の決着を目の当たりにできた。4日間・約40時間に及ぶ生中継は、多くのゴルフファンを楽しませた。

このインターネット中継は6万2800人がチャンネル登録。最終日の7時間以上にわたる生中継の視聴回数は130万を超えた。大会4日間を通じた視聴回数はトータル677万3987だった。この驚異的な数字は、今回の試みが多くのゴルフファンの気持ちをつかんだ証左だろう。

主催者が担った大きな役割

この2つの意味における「ニューノーマル」の構築に大きな役割を担ったのが、大会の主催者であるアース製薬の大塚達也会長だ。

今回のインターネット中継は全ホールをカバーするために41台のカメラが使われた。また、ゴルフボールの弾道やボール初速・飛距離を表示するシステムも導入。少しでもファンに楽しんでもらえる工夫がなされていた。

中継に関わるスタッフも、現地スタッフ80人、リモートスタッフ70人の合計150人態勢で実施したという。中継にかかった費用については明かされていないが、通常のテレビ中継に関わる人員は250人前後で費用も1億円以上といわれている。それより少ないにしても、インターネット中継経費はかなりの額に上るとみられる。

また、大会賞金総額2億4000万円、優勝賞金4320万円は、女子の大会ではトップクラスである。加えて今回は、感染防止の観点からPCR検査も実施している。これらの費用は大会主催者であるアース製薬が負担している。

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