菅義偉「コロナ対応、あらゆる支援を用意した」

支持率は最低「難しいが丁寧に説明していく」

塩田:4月の緊急経済対策では、最初、7日に所得減少世帯向け30万円給付案を提示しました。ところが、この案を盛り込んだ2020年度第2次補正予算案の国会提出の直前の16日、政府はこの30万円給付案を撤回し、国民1人一律10万円給付案に変更しました。

:当初、本当に困っている方に手厚くということで、1世帯20万円、途中から30万円にというプランを用意しました。もちろん私も賛成して決定しました。ですが、4月16日に緊急事態宣言の対象地域を全国に拡大し、全国の国民に人との接触を8割削減してほしいという要請を行った。全国民にご迷惑をかけ、ご協力をお願いするのだから、10万円ずつ全国民にということにした。そのほうがやはり説得力があった。決定に至るまで混乱を招いたことは確かですが、案の内容を変えてよかったと思っています。

塩田:30万円案の対象は約1300万世帯で、総額約3兆9000万円ですが、一律10万円案ですと、全国民が受け取った場合、単純計算で総額約12兆6000億円の財源が必要になります。政府が最初、30万円案に決めたのは、財政当局が難色を示したからではありませんか。

:財政当局の反対というよりも、今回はまったく過去に経験していないことをやらなければならなかったということが大きい。全国民がここまで影響を受けるのは、ある意味で戦後初めてのことです。財源の問題よりも、まず感染防止と経済の維持が大事だった。そのためにどういう政策を取るかということです。

塩田:安倍首相自身はどんな考えだったのですか。

:総理も最初、一律10万円案が頭にあった。ですが、収入が減って生活が大変な人に手当することが大事なので、そういう方々に20万円を給付する、それを次に30万円にしようとした。それは総理ご自身の判断です。

塩田:菅さんのお考えは。

:私は基本的に総理と一緒でした。最後にやっぱり世の中の雰囲気からして、絶対に10万円にすべきだという考えになりましたけどね。

「ちゃぶ台返し」ではなかった

塩田:あの場面で、自民党の二階俊博幹事長が党内で「一律10万円給付を」と声を上げ、公明党の山口那津男代表が安倍首相に10万円給付案を直談判して、給付案の内容の撤回・変更という「ちゃぶ台返し」が起こった、と報じられました。

:ちゃぶ台返しではなく、総理ご自身もそういう考え方をお持ちでしたから。私は公明党の意向もよくわかっていました。

塩田:山口代表の安倍首相への申し入れが撤回・変更の決定的な要因だったのですか。

:それはそうだと思います。それを総理ご自身がご判断しました。

塩田:安倍首相は別の政治的な意図や狙いがあって公明党の要求をのんだということではないですか。2019年の参院選の結果、自民党は参議院で過半数割れとなり、政権内で公明党の発言力が強くなったため、公明党への配慮が働いたということはありませんか。

:そういうことではなく、当時の雰囲気ですよ。山口代表が発言して、次の日の朝にはみんなそういう雰囲気だった。総理も考えを変えましたから。公明党への配慮よりも、同じ政権を担う連立与党の代表からのお話に、謙虚に耳を傾ける必要があると判断されたと思います。ですが、何よりも16日に緊急事態宣言を全国に広げたことが大きかった。

塩田:国民1人一律10万円給付案の効果をどう見ていますか。

:実際には受け取った人はまだ全体の半分ぐらいですね。全部行き渡ると、皆さんの受け止めも変わってくると思いますよ。これだけでなく、ありとあらゆる支援メニューを用意しています。第2次、第3次の補正予算を合わせて234兆円の規模です。これはやっぱり効いてくると思いますね。

第2回(7月11日公開予定)に続く

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