「公共放送=番組の質が高い」と信じる人の盲点 米国では教育番組制作も民間が担っている
公共放送であるNHKの番組の質は、民放局のそれに比べて質が高い〜〜。少なくない数の日本人はこう考えていないでしょうか。確かにNHKの制作費は民放局に比べて大きいですし、予算は国の承認が必要なため番組の品質管理にも気を使っているでしょう。とはいえ、民放には高品質の番組が作れないわけありません。世界の事情はどうなっているのか。元財務官僚で嘉悦大学教授の高橋洋一氏著『「NHKと新聞」は嘘ばかり』から抜粋してお伝えします。
公共放送でも広告収入を得ることはできる
NHKにもやがてCMが流れる──日本人の多くは「CMを入れてしまうと、公共放送として成立しなくなる」という洗脳にだまされているので、違和感を覚える記述かもしれません。しかし、これが「嘘」なのです。
公共放送がCMで広告収入を得るのは、ヨーロッパではごく普通のことです。NHKとBBCが例外的にやっていないだけで、フランスの公共放送「フランステレビジョン」、ドイツの公共放送「ZDF」「DLR」、イタリアの公共放送「RAI(イタリア放送協会)」など北欧を除くヨーロッパ各国の公共放送は、いずれもCMによる広告収入を得ています。
もちろん広告収入を得ているからといって、放送の独立性や中立性を疑われるようなことはありません。
ここで世界のテレビ放送の趨勢について記しておきましょう。1つは、イギリス、ドイツ、フランスの「公共放送&民間放送」というヨーロッパ型。もう1つは、基本的に「民間放送だけ」のアメリカ型です。
まずヨーロッパの放送事業者についていえば、1980年代までは公共放送の事業者しかおらず、純粋な民間放送はありませんでした。だから歴史的に、ヨーロッパ型の放送改革は「公共放送は存在する」という前提で議論されています。
インターネット同時配信についても、ネット広告との付き合い方はさておき、最終的には公共放送の大枠を温存する方向で決着するでしょう。日本のNHKも、基本的に同じ方向性を狙っていると思われます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら