新型N700S、リニア暗雲吹き飛ばす颯爽デビュー 抜群の安全対策で東海道新幹線の主役を張る

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JR東海が製造した新幹線の車両形式番号を見ると、300系を除くすべての車両形式に700という数字が入っている。

N700A(奥)と顔を並べたN700S(確認試験車)。ライトの形状をはじめ、顔つきは似ているようで違う(撮影:尾形文繁)

「JR東海は700という数字にこだわっているのか」。こんな質問に対して、上野氏は「700系を開発していた頃は、これから700を踏襲することになるとは思ってもみなかった」と振り返る。しかし、「先頭形状を含む開発コンセプトはN700系、N700A、N700Sと引き継がれてきた。N700Sという名前は700系から続く系列としてはふさわしいのではないか」(上野氏)。

災害時にも強い新装備

N700Sは名前こそ700を踏襲しているが、「N700系以来となる13年ぶりのフルモデルチェンジ」(JR東海)という位置づけ。床下機器の配置を最適化して、16両編成の基本設計をそのまま用いて12両、8両などさまざまな編成長にして東海道新幹線以外の線区にも適用できるという。「すでに引き合いは来ている」(金子社長)といい、長崎新幹線や台湾新幹線などへの導入が期待されている。

床下に搭載したリチウムイオンバッテリー(撮影:尾形文繁)

小型・大容量のリチウムイオンバッテリーを標準装備していることで、架線停電時のバッテリー走行が可能になった。地震発生時にトンネル内や橋梁の上など、乗客の避難が困難な場所で緊急停止した際、架線から電力を得ることなく乗客の避難が容易な安全な場所まで自力で走行することができる。トイレの利用も可能だ。

東海から四国にかけて広がる南海トラフ地震の発生が心配されている中、このバッテリー走行性能は、非常に重要な役割を果たすかもしれない。

南海トラフ地震がひとたび発生すると、東海道新幹線にも計り知れない影響を及ぼすことになる。JR東海は新幹線の車両側だけでなく、インフラ部分については高架橋の柱を鋼板で巻く、盛り土の耐震補強を行う、脱線防止ガードの設置といった対策を講じている。

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