「仕掛学」は感染拡大を止める切り札になるか 身近な問題から社会問題まで解決する可能性

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ここでいくつか、身近な「仕掛け」の例を紹介しよう。

例えば、男子トイレにある「的(まと)」のついた小便器。この的は「つい狙いたくなる」という心理をうまく利用している。的は飛散が最小になる場所に貼られているので、的を狙うことによって知らず知らずのうちにトイレを綺麗に使うことに貢献することになる。

男子トイレにある「的(まと)」

「トイレは綺麗に使いましょう」という張り紙はよく見かけるけれど、それを見ても綺麗に使おうという気にはならない。そんな張り紙をしなくても、さりげなく的のシールを貼るほうがずっと効果的なのである。

オランダのスキポール空港のトイレには「ハエ」の的がついており、飛散が80%減少したと報告されている。

人の流れをコントロールする簡単な方法

もう1つ例を紹介しよう。著者は大阪に住んでいるので東京への出張の際には飛行機や新幹線をよく利用する。大阪ではエスカレーターは右側に立って左側を急ぐ人のために空けておくのが暗黙のルールになっているが、東京では左側に立って右側を空けるルールに変わる。この変なルールは大変紛らわしく著者もよく間違えるが、列が乱れると人の流れに淀みが生じてしまう。

このような場合、エスカレーターの左側に左右の足を揃えた足跡を描いておくと左側に立てば良いことが自然と伝わり、人の流れが整理されるのだ。

エスカレーターの左側に左右の足を揃えた足跡

また、こんな仕掛けもある。JR大阪駅の環状線のホームに続くエスカレーターは利用者が大変多く、いつも混み合っている。一方で併設されている階段の利用者は少ない。

そこで「アフター5に行くならどっち? 天満派? 福島派?」とお題を出し、階段の右側を通れば天満、左側を通れば福島に投票できる「大阪環状線総選挙」と銘打った仕掛けを設置したのだ。その結果、階段利用者が1日あたり1342人増え、結果的にエスカレーターの混雑緩和に貢献した。

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