社長が語る、乗客激減「いすみ鉄道」の生きる道 新型コロナで利用者は減ったが希望もある

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――社員の仕事や雇用で変わった部分はありますか。

減った仕事もありますが、逆にフェイスブックやツイッターで発信してもらうなど、今までの仕事量が1だとすると、それを頑張って1.2にしましょうと指示しています。

いすみ鉄道の古竹孝一社長。1971年香川県生まれ。高松市でタクシー事業や自動車関連サービス事業などを行う6社の代表取締役を歴任。いすみ鉄道の社長公募に応募し、2018年から同社社長(筆者撮影)

全体の経費としては減らしていますが、集客のキーとなる部分、商品開発につながる仕事は予算を増やしました。今までしてこなかったことについて、社員たちが少しずつ考えて取り組むようにしています。

――地域と鉄道との関係について、どう考えますか。

沿線地域の力を引き出す魅力のシンボルが鉄道ですから、社員には「社長をうまく使ってください」、地域には「いすみ鉄道をうまく使ってください」と言っています。地域を無視した施策は長続きしません。地域との協力は不可欠です。

――地域キャラクターのヘッドマークを車両に掲げるなど、1つひとつの地域の観光情報を重点的に掲示していますね。

第3セクター鉄道ですから、いすみ市や大多喜町だけではなく、いすみ地域2市2町、千葉県全体も考えるべきだと思っています。いっしょにがんばりたいと思うのです。

「支店長」が大活躍

――これまで行ってきた「地域との協力」はどのようなことですか。

キハ52形と古竹社長(筆者撮影)

たとえば「大多喜ハーブガーデン」とのコラボで、ランタンフェスティバルを行いました。大多喜お城まつりでは当社社長として実行委員も務めています。いすみエリアにはまだまだポテンシャルがあり、それを引き出す施策が必要だと考えています。

――社外から案を募る「いすみ鉄道支店長」も募集していますね。

各地の支店長からいただいた案は少しずつ実現しています。たとえば城西国際大学メディア学部が企画した動画をホームページに掲載しました。同学部が撮影した、キハ52形の全般検査を行う経緯や、オーバーホールの様子も写真集にする予定です。

また大多喜高校、大原高校の美術部とコラボし、10~11月に大原駅の壁画を変える準備をしています。なお、弊社の営業課長は外から支店長に応募した人で、当社の営業課長になってもらいました。

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