ジム・ロジャーズ「年金はますます目減りする」 逃げ切れると思っているなら大きな間違いだ
「当初はアメリカにいて、娘たちに中国語を学ばせようと考えていた。だが、それでは私が思うようなレベルには上達しないとわかった。だから、家族でシンガポールへの移住を決めた。中国をネイティブランゲージとする環境に身をおいたようがよいと思ったのだ。もうシンガポールに移住して10年以上になるが、いまでは娘たちは中国語を流ちょうに操るようになっている。同じように中国語圏に移住をするなら、カナダのバンクーバーや台湾も良い場所だと思う」
日本人が、ネイティブスピーカーが少ない日本国内で英語を学ぶのは困難です。ロジャーズ氏の娘もシンガポール訛りのシングリッシュを話すようになったので、旅行で香港に連れて行き、発音が通じるかどうか試させたそうです。今ではアメリカ英語、シングリッシュの両方と、中国語も流暢に話しますが、当時は訛りがあって海外で英語が伝わらなかったようです。
日本の金融機関も富裕層へのサービス強化が不可欠
5月1日の記事「ジム・ロジャーズ『必ず最悪の結末』が訪れる」でも触れましたが、今回、ロジャーズ氏のメインインタビュアーを務めたモンラッシェ・キャピタル社はシンガポールで「ファミリーオフィス」のサービスを行っています。
このサービスは富裕層の海外移住や子供の教育など、生活周りから資産運用や税務アドナイスなどまでを一括して行うサービス業を言います。同社も、住宅のwi-fiのセットアップから子息の学校選びや願書の提出の支援まで行っていると言います。さらに言えば、シンガポールの銀行は自動車の売買仲介、新電力の契約斡旋、不動産の売買仲介なども行っているところもありますし、欧州系のプライベートバンクなどでも子供の願書の手伝いなどのファミリーサービスも行っているところもあります。
今後、少しでも収益構造を改善するために、邦銀もファミリーサービスなどに乗り出す流れになるかもしれません。ロジャーズ氏も収益環境の厳しい地方銀行などは、例えば人材関連やその他のビジネスへの関与を高めていくようにするなど、生き残りのための工夫が絶対に必要だと主張します。
教育も金融サービスも、小さな島国の中だけで生活していると、どうしても自国でのサービスがすべてだと思いがちです。しかし、世界は広く、選択肢はたくさんあるのです。少なくとも、気づき始めた日本人の富裕層の間では、静かな「日本脱出」が流行り始めています。
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