素人も藤井聡太七段の凄さが判る7つの注目点

天才の将棋を楽しまないのは「人生の無駄」だ

④ 詰将棋解答選手権5連覇

実は、筆者は、藤井七段について、この選手権の実績をもたらした能力を一番「凄い」と思っている。

藤井七段は、昨年まで詰将棋解答選手権を5連覇している(今年はコロナのために中止)。初回の優勝時は小学生だった。詰将棋と指す将棋の「読む能力」は、全く同じではないが、相関が高い。特に終盤の玉が詰むか詰まないかを読む能力は、詰将棋を解く速さと大いに関係する。

野球なら時速165キロを楽に投げる投手のような存在

難解な詰将棋を誰よりも速く解く能力があるという実績は、メンタルな要素の大きなゲームである将棋では大きな武器だ。正確な比喩ではないが、野球で言うと楽に時速165キロの直球を投げ込むことができるピッチャーのような存在なのだ。

元々局面の先を読む能力が高い天才どうしが、一方が他方に対して勝てないと認識して「負けました」という状況に追い込むゲームがプロの将棋だ。自分が読めいていない局面や詰みを藤井七段はもう読めているかも知れないという精神的な圧迫感は相手にとって小さくない。

また、勝負を決する終盤戦を混沌とした互角の状態で迎えると藤井七段の方が有利なのではないかと思うと、相手にはプレッシャーが掛かる。そして、現実に藤井七段は複雑な終盤戦に強い。一方、藤井七段の側でも、終盤戦の読みに自信があるので、序中盤に十分な考慮時間を投入することができる。そして、序中盤での十分な考慮は以後の対局に向けた蓄積にもなるはずだ。

藤井七段に対して、前例のない特殊な形や、いわゆる奇襲戦法のような戦い方を挑まずに、研究が進行中の定跡型で戦う相手が多いのは、新奇な形で挑んでも藤井七段にじっくり考えて対応されてしまうと却ってまずいと思うからだろう。先例の多い流行形なら、ある程度までは互角の勝負ができる。詰将棋の解答力に表れる「絶対的な能力」は藤井七段の大きな魅力であり、同時に勝負の武器だ。

なお、詰将棋は単なる練習問題ではなくて、芸術的な評価の対象になる高度なパズルだ。藤井七段は解答だけでなく、作家としても素質を持っているらしい(内藤國雄九段、谷川浩司九段、のように)。将来発表するであろう、詰将棋作品にも期待が持てる。

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