微分積分によって導かれたニュートンの第2法則「F=ma」を社是とし、これに従って会社のさまざまなルールを決めています。まず入社について。入社案内には「(1)もし君が入社したなら、物理学を基礎から学ばなければならない、(2)決して優遇しない」という2点を条件として掲げています。
木材機械メーカーであるわが社は、物理学の基本がわかっていなければ、いい機械を作ることはできません。そしてF=maという、人間の力ではどうしようもない自然法則の下では、社員はすべて同列。誰かを特別に優遇することはありません。
入社試験は毎年同じ、たやすい問題です。物理と数学のみで、あらかじめ公開もしています。正解できるかを見るのではありません。考えるプロセスを見るのです。なぜそういう答えになるのか、君はどういうふうに考えたのか、面接で徹底的に聞きます。わからないことを「わかりません」と正直に言えた人はだいたい合格です。
社員は経営者、株主でもあるという「三位一体」
「本に書いてあった」「先生にそう教わった」などと答えて自分で考えない人や、知ったかぶりをする人は仕分けます。試験官は後輩が欲しいと名乗り出た若手社員が中心です。採用したら自分で面倒を見なければならないので、試験官も必死です。
社員の給料は「給料委員会」が決めます。30歳から40歳ぐらいの中堅社員5~6人が委員となり、全員の給料を決める。相談役である私も社長も原則、そこで給料が計られます。年齢的な要素もありますが、基本は「次元給」です。次元給は評価を量ではなく質で行います。「自分が生きるのに精いっぱいで、周りの人のことなど構っていられない人」は最低の0・5次元、「3~6名の周りの人を自分の個性的経験と多少の論理によってリードできる人」は2次元、「10~20名の人を論理的、行動的に納得させてリードできる人」は2・5次元などとしています。
全社員が相互評価し、その集計結果を基に給料委員会で話し合って決めるのです。役員の選出も、入社5年目以上の中堅社員が株主となり、1人1票を持って投票して決めます。40年以上同じやり方です。“他人の運命を自分が決める”という重大な責任行動を体験し合うのです。
日本は第2次世界大戦に敗れて夢から覚め、民主主義に覆われました。会社も同じ。社員は経営者でもあり、株主でもあるという「三位一体」がよいと思うのです。すべての社員がその三者の自負と責任感を持って行動することが必要と考えます。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら