BRTは赤字・被災鉄道よりも大都市にふさわしい 地方でなく都市圏での導入にメリットがある
一方、輸送力があくまでバス並みで、大量輸送に向いていない、構造的な欠点がある。鉄道車両は、連結すれば1編成で数百人の輸送も可能で、運転士も1人でよい。しかし路線バスの定員は最大でも70人程度。続行運転は可能だが、バスの数だけ運転士が必要になる。
また、一般道を経由する途中で道路の混雑に巻き込まれれば、いかんともしがたい。鉄道の代替と考え、停留所を鉄道駅並みのまばらな間隔で設けると、近くの道端から気軽に乗れる路線バスの利点は失われる。
本来は都市部向け
だが、考えてみると「専用道を走って渋滞を回避するメリット」を享受するためには、そもそもBRTが設置される区間の道路の混雑がひどく、路線バスの定時運行が難しい状況が生じていることが前提ではないか。一般道を走るバスの定時性が確保できているのなら、わざわざBRTを建設する必要は薄い。
その意味では、1985年から名古屋市交通局が運行している「基幹バス」(基幹2号系統)が、本格的なBRTの元祖といえるだろう。
当時はまだBRTという言葉は一般的ではなかったので、そう名乗ってはいないが、市電の代替として、市電と同様に幹線道路の中央部に専用レーンを設定。800m~1km間隔で、専用の停留所を設けたバスのシステムだ。信号制御も工夫して、交差点内における右折車との干渉を避けている。
また、同じ名古屋都市圏を走る「ゆとりーとライン」は「ガイドウェイバス」システムを導入し2001年に開業。名古屋市中心部におけるバスの走行路を完全に高架の専用道とし、バスには案内装置を取り付けて、新交通システムと同様にガイドレールに誘導されて走行する。郊外の区間では、一般的な路線バスとして走る。
これらはいずれも、日常的に道路が混雑する大都市中心部にバス専用道を設け、輸送効率を高めるために採り入れられたシステムだ。まさに「高速」の名にふさわしいといえる。
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