生活保護と日本型ワーキングプア 道中隆著
生活保護受給家庭の貧困の実態を、自治体が保有している個別のケース記録の詳細な分析を基に解明したたぐいまれな研究書である。自治体職員の筆者は、生活保護行政に長年にわたり従事。「日本型ワーキングプア」社会への問題意識が集大成されている。
「被保護者は総じて低学歴ゆえに就労の機会が限定され、低賃金を余儀なくされている」「経済的貧困が次世代へと継承されている」「要保護層の中でも母子家庭が貧困の『担い手』となっている」「若年出産の母子家庭で、児童虐待が集中的に発生している」
本書に詳述された調査結果は過去にマスコミで大きく報じられており、世の中に衝撃を与えた。
ホームレスの生活実態についても自治体の資料を基に検証が行われており、最終学歴や健康状態との関係性、就労自立支援の可能性と困難の解明に力が注がれている。貧困問題に関心を持つ人にとって必読の一冊だ。
ミネルヴァ書房 2310円
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