コカ・コーラ パークが挑戦するエコシステム・マーケティング 江端浩人・本荘修二著~自社・共同メディア駆使のマーケティングの将来図とは
今、マーケティングが面白い。ゲームのルールが根底から変わりつつあるからだ。インターネットの普及によって、容易に消費者が情報発信でき、消費者同士がつながることができるようになった。企業はもはや消費者パワーを無視できなくなり、従来のメディア中心の、一方的で効果もよくわからないマス・マーケティングの力は、確実に弱まってきたといえよう。
本書では、気鋭のマーケッターとコンサルタントが、コカ・コーラ パーク等、豊富な先進事例を紹介しながら、マーケティングの将来図を示しており、大変刺激的だ。その中心にあるのは、企業が自社メディアを駆使して消費者と直接つながることでより確かな結果を生み出し、またパートナーと組むことで大きな相乗効果を生みだす「エコシステム・マーケティング」だ。
エコシステム・マーケティングには、パートナー・エコシステムとコンシューマー・エコシステムの二つの要素がある。前者で注目すべきは、事業会社同士が組むことで強力なメディアとなり、従来のメディア企業の存在意義が薄れ、メディア業界、広告業界の構造改革が進むことだ。とはいえ事業会社のほうも、自社メディア開発には長期的な視点が必要で、今から始めないと手遅れになることは肝に銘じておくべきだろう。この点、これまでマス・マーケティングの最大の利用者であったコカ・コーラの新しい試みは注目に値する。一方後者においても、「IMC」や「エンゲージメント」等、注目すべき点は多い。また、著者の指摘する携帯の重要性も「目からウロコ」の感がある。
将来のビジョンや方向性だけでなく、マーケティングの本来あるべき姿をも浮き彫りにする本書を一読するのは、マーケッターでなくとも非常に有意義ではないだろうか。
えばた・ひろと
日本コカ・コーラ インターラクティブマーケティング統括部長。米国生まれ。2005年より現職。上智大学経済学部卒業、スタンフォード大学MBA。
ほんじょう・しゅうじ
本荘事務所代表、多摩大学客員教授。ボストンコンサルティンググループなどを経る。東京大学工学部卒業、ペンシルベニア大学MBA。
ファーストプレス 1680円 213ページ
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら