絵本の読み聞かせが親子に大事な時間となる訳 互いに愛情を伝え合い触れ合うことができる

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植物はある日突然芽を出します。種を蒔いたことを忘れてしまうくらい、長い期間、土のなかで必要な水分と養分を吸収した種は、準備が整った瞬間、ヒョッコリと芽を出します。そしてにょきにょき生長を始めます。土のなかでじっとしている時間は、何も起きていないように見えて、大きなことが起きているのです。

時に、もどかしく感じられるものですが、まずは親御さんがどっしり構えて、とにかく、子どものペースを守ってあげることです。

子ども自身の時間を過ごすことが、その後の成長の糧となります。 親子が1つの絵本を見る。

同じ言葉に触れて、同じ絵を見て、同じ物語の世界に身を置く。

そこで生まれる感情を分かち合う。

絵本の読み聞かせは親子に、密度の濃いコミュニケーションをもたらします。

子どもが、迷子になった主人公になりきって困っていたら、「困ったね。どうするのかな」と声をかける。それだけで子どもは「お母さんも同じ気持ち」と心のつながりを感じとるもの。

気持ちのつながりを持っていたかどうか

こうした気持ちのつながりの確認が、子どもの生きる力を育てます。
大人になって「ここぞ」というときに踏ん張れる力を発揮できるかどうか。

『1日15分の読み聞かせが本当に頭のいい子を育てる』(マガジンハウス)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

これには、幼児期にこうしたつながりを持っていたかが関わっています。

誰かと確実につながってきた感触は、幹となってその後の人生を支えます。物語の内容だけでなく、絵本を読んでくれる声からも、抱っこされている肌の温もりからも、子どもは親の愛情を感じとります。

読み聞かせは子どもを絵本の世界に導くためだけのものではありません。

親子が互いに愛情を伝え合い、触れ合うための時間なのです。

だからこそ、「絵本を読んでもらった幸せな時間」は、子どもにとって何ものにも代えがたい財産になるのです。

齋藤 孝 明治大学教授

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さいとう たかし / Takashi Saito

1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、同大大学院教育学研究科博士課程等を経て、明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。ベストセラー著者、文化人として多くのメディアに登場。著書に『声に出して読みたい日本語』(草思社)、『読書力』(岩波書店)、『雑談力が上がる話し方』(ダイヤモンド社)、『質問力』(筑摩書房)、『語彙力こそが教養である』(KADOKAWA)、『読書する人だけがたどり着ける場所』(SBクリエイティブ)ほか多数。著書発行部数は1000万部を超える。

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