第2次安倍内閣になり、筆者もその一議員となった行政改革推進会議が設けられ、「三度目の正直」となる独法改革論議が始まった頃から、与党内で国の研究開発振興に熱心な国会議員を頼りに、この不満を基に具体的な行動に移し始めた。それは、「研究開発系の独法は、この機に独法制度から離脱して別制度に移行する」というアイディアだった。
独法改革に納得せず、「聖域」を作ろうとした研究系
「三度目の正直」となる今般の独法改革論議の本丸は、業務の特性に応じた法人の類型化、主務大臣による目標設定と評価の一貫性・実効性の向上、独法のガバナンス強化、予算執行の弾力化と説明責任の向上、であった。こうした内容を独法通則法に明記する方向(法改正)で議論が進められた。
これが実現できれば、研究開発系の独法は独法制度の中で独自の類型に属し、その職員の給与は必ずしも国家公務員準拠でなくてよくなり、中期計画の期間も5年にとらわれずに予算を執行できるようになり、前掲の不満は解消されることになる。
しかし、研究開発系の独法や、その要望を担ぐ担当部局や国会議員は収まらなかった。
研究開発系の独法を、独法通則法の適用が及ばない別制度の組織にしようと動いていたフシがある。
当初、文部科学省(理化学研究所や科学技術振興機構などを所管)はこれに積極的、経済産業省(産業技術総合研究所などを所管)は様子見で風向き次第では乗る、という姿勢だった印象が、筆者にはある。
これに対して、制度官庁(行革本部)は、研究開発系の独法の別法化は許さない、という姿勢だった。
独法通則法の適用を受けないと、かつての特殊法人のように、所管省庁の意のままに組織や予算をつけることができる仕組みになってしまうという懸念があったからだ。
そこで、研究開発系の独法は、独法通則法の適用を受けるが「国立研究開発法人」という名称を付すことで妥結を図った。この段階では、国立研究開発法人に、給与面での裁量を認め、最大7年まで期間を延ばした中期計画を立て「研究開発の成果の最大化」を目的にしてよいとしていたから、別法化する意義はないはずだった。しかし、それでも納得せず、上図のように「特定国立研究開発法人」という独法通則法の枠を抜け出す余地を設けることで、最終的に妥結した。
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