安倍首相、「3年ぶり実力者会合」に飛び交う臆測 浮上する秋口解散説、「ポスト安倍」も活発に

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ただ、菅原、河井両氏がいずれも公選法違反疑惑を報道されて就任1カ月ほどで閣僚を辞任。与党内でも菅氏への批判が噴出した。その後、桜を見る会問題でも記者会見で口ごもる場面が目立ち、年明け以降のコロナ禍への対応では、危機管理の前面にも立てなかった。

与党内でも「官邸のすきま風」と、安倍首相と菅氏の不仲説が広がり、野党に付け込むすきを与える要因ともなっていた。

19日の会食は、安倍首相がそうした風評を払拭するため戦略的に仕掛けたものであることは間違いない。とくに、党ナンバー2の二階氏が、ここにきてポスト安倍をにらんで菅氏と連携する動きを見せていたことなどから、「首相と菅氏の一体感」を党内に見せつける狙いも透けて見える。

河井夫妻逮捕は「放置」の構え

週末となった翌20日の夜、安倍首相はインターネット番組に出演して橋下徹・元大阪市長と対談した。菅氏との関係については「すきま風が吹いているのではないかと言われるが、実際そんなことはない」と笑顔で否定。ただ、「そういうことを言われると、ある種の空気が漂う危険性がある」と微妙な表現ですきま風の存在を認めた。

そのうえで、19日の会食に触れて「政治家は直接話し合わないといろいろなことを言われる」と4氏の顔合わせの意義を強調した。

「衆院解散が話題になったのか」との橋下氏の突っ込みには、「解散はつねに意識はしているが、昨日(19日)はなかった」と意味ありげな表情で語った。2021年9月までの安倍首相の任期中の実現が絶望視されている憲法改正については、国会での議決を経て任期中に国民投票に持ち込みたい考えを改めて表明した。

国会が閉幕し、コロナ対策や政権スキャンダルをめぐる与野党攻防の舞台が限定されたことは、安倍首相にとって「反転攻勢のチャンス」(側近)であることは間違いない。河井夫妻逮捕という政治的大事件も、18日の首相会見の冒頭で「国民に深くおわびしたい」と神妙な表情で頭を下げ、自民党は野党が求める河井夫妻問題での集中審議開催に難色を示している。同問題の報道は過熱しているが、政府与党首脳は「捜査中」を理由にコメントを避け、河井夫妻の議員辞職についても「政治家個人が判断すること」と放置する構えだ。

国会閉幕に合わせて各メディアが実施した世論調査で、内閣支持率はなお低下基調が続くものの、首相サイドは「調査によっては下げ止まりの傾向が出始めた」(周辺)と楽観的だ。

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