「コロナ失業」冷酷に切り捨てられる人々の叫び 長期自粛のダメージが長く広い範囲に及ぶ
産業別の濃淡もはっきりしており、宿泊、飲食、小売りなど、新型コロナの影響が直撃しているサービス業で休業者が急増している。サービス業では一般に、製造業などと比較して女性比率、非正規比率とも高い。実際、5月31日と6月1日に各地の労組やNPOなどが共同開催した電話相談では、相談者の6割超が女性で、7割超の雇用形態が非正規だった。会社都合による休業とその補償に関する相談内容が最も多かったという。
こうした状況に対して、政府も対応を進めている。6月12日に成立した約32兆円の2020年度第2次補正予算は、働き手の支援に相応に配分されている。
その柱となるのが、休業手当を支払った企業にその費用を助成する、雇用調整助成金(雇調金)の拡充だ。新型コロナの感染拡大を受け、これまでも条件緩和を進めてきたが、1人当たりの日額上限を8330円から1万5000円に引き上げ、対象労働者に雇用保険の被保険者以外も加えるなど、大幅に拡充する。
後に助成されるとはいえ、資金難で休業手当の持ち出しができない中小企業を想定し、従業員が国に直接申請して支援金を受け取れる新制度も設けられた。月額33万円を上限に、賃金の8割を払う形で制度設計が進められている。
深刻化する相談内容
ただこうした支援策はあくまで雇用維持のための一時的なものだ。緊急事態宣言が解除され、「失業予備軍」である休業者が、今後元どおりの仕事に戻れるのかがポイントとなるが、決して楽観はできない。
感染拡大前に多くの産業が深刻な人手不足に陥っていたこともあり、コロナ禍が早期に収束に至ることを見込んで、従業員に休業を求めている企業は多そうだ。だが、感染拡大の第2波、第3波が発生したりして企業活動の停滞が長引けば、企業が非正社員の雇い止めや正社員の解雇に踏み切る懸念は強い。
労働相談を受けている現場からも同様の声が上がる。「当初は『アルバイトのシフトが削減された』といった相談から、『休業要請されたのに手当が支払われない』といった内容が続き、今は雇い止めや解雇の相談が寄せられている。日を追うごとに相談内容が深刻化している」(全労連の仲野智・非正規センター事務局長)。厚生労働省によれば、新型コロナ関連での解雇、雇い止めは見込みも含め、6月中旬に2.4万人を超えた。
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