二神能基・NPO法人ニュースタート事務局代表--成長主義から脱却した新しい日本人の可能性《私のアラサー論》

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 そうなれば地域で仲間と一緒に何かをしようということになる。私のところでサポートしていた若者も、それで結構楽しそうに暮らしている。絶望の果ての希望なのかもしれないけれど、発想を切り替えて、若者自体が新しいところへ進みつつあるなという感じを持っている。

自然体でボランティアに参加できる若者

今のアラサー世代は物心ついてからずっと不況で経済成長にさほど執着がない。物質的に初めから豊かだったせいか、今より豊かにならなくちゃとか、消費しなくてはという意識が低い。だいたい欲しいものを聞いても、特にないと答える。

むしろいたずらな成長志向がないという点で、アラサー世代は新しい日本人のあり方を示していると思う。収入が少なくても、地域とのつながりの中で仕事をしたり、ボランティア活動に熱心だったりする。産業ということからいっても、介護や福祉、農業といった分野は、こうした視点が生かせるはず。

私は四国の進学校出身で同級生は皆、有力大学に進学し、大企業でずっと働いてきた。ちょっと前までは同級生も「退職したらボランティアでもするよ」と言ってきたが、企業社会で心身ともにすり切れて、そんな元気もない。そうした姿を見ていると、これまで頑張ってきて何が残ったのか、とすら思う。それと比べたら、ごく自然にボランティアに入っていける若者のほうがよほど充実している。

ふたがみ・のうき
1943年生まれ。早稲田大学政経学部卒。学習塾経営を経て不登校や引きこもりの若者を支援するニュースタート事務局を設立。著書に『勝ち負けから降りる生き方』など。

(撮影:今井康一)

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