日経平均が2万3386円まで上昇する3つの根拠 6月の「アフターコロナ相場」はどうなるのか

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理由をいくつか挙げると、以下の3つになりそうだ。すなわち①悲観論で売られすぎていた②「実質GDP毀損額32兆円」に対して「200兆円」とも言われる経済対策が決定した③日本株そのものへの見直し、である。

① については、あのウォーレン・バフェット氏も売らざるを得なかった環境のもと、アメリカのS&P500銘柄の空売り残は史上最高を記録した。日本においても、裁定取引の売り残が同じく史上最大になった。その水準はまだ解消されていない。

経済対策は失われたGDPよりはるかに大きい

②については、IMF(国際通貨基金)によると、日本の2019年9月末の実質GDPは539兆4000億円であり、同年10~12月期の前期比は1.9%減(年率7.3%減)となったので、同2019年末の実質GDPは529兆1500億円となる。

このように、コロナショック以前に10兆円もの後退を見せていたので、これが弱気筋の根拠の1つになっている。そしてコロナの影響が数字に大きく見え始めた1~3月期の数字が先般発表された前期比0.9%減(年率3.4%減)だった。

ということは、この時点の実質GDPは524兆3800億円程度と推定できる。さらに4~6月期の見通しは前期比5.2%減(年率21%減)あたりとなっている。確かにかなり厳しい数字であり、この前期比5.2%減で計算すると497兆1100億円となり、GDP500兆円を割れる。このあとの7~9月期、10~12月期についても強気予想は聞かれない。

だが、世界はすでに5月より段階的な経済活動再開に踏み切り、各景気指数はまだ低いものの、4月よりも大きな反転を示している。この傾向線上に回復過程が乗ってくるとすると、7~9月期、10~12月期でさらに実質GDPが減損するとも考えられない。

つまり現時点では、1~6月期の減損額32兆400億円(529兆1500億円-497兆1100億円)がコロナショックによる実質GDP減損額となるわけだ。これに対して1次、2次補正で事業規模200兆円以上(真水約60兆円)の経済対策が打たれるわけで、株は下がりようがないことになる。

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