日産が巨額赤字、「大リストラ計画」にみる猛省 生産能力2割減、日米中に経営資源を集中

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今回の構造改革計画「NISSAN NEXT」では、ゴーン時代の拡大路線によって負の遺産となった過剰設備の整理に本格的に取り組む。世界の生産能力は現状から2割削減し、2023年度には年間540万台(600万台まで変動可能)とする。

インドネシア工場(生産能力25万台、調査会社マークラインズ調べ)の閉鎖を決めたほか、スペインのバルセロナ工場(生産能力21万台、同)も閉鎖の方向で現地政府や労働組合などとの協議を始めた。

「人員削減の規模は個別協議が必要なので、今日は公表を控える」(内田社長)としたが、2019年7月に発表した1万2500人削減に大幅に上積みされることは確実だ。車種数を現在の69から55以下に減らすことなどと合わせ、固定費を2023年度に3000億円削減(2018年度比)する。

「全方位戦略」から決別

「日産のいまの実力値に合わせて、展開地域も開発も切るところは切っていくしか道はない」。ある日産幹部は無理な拡大路線を突き進んだ過去を反省したうえで、そう強調する。

日産は今後、ホームマーケットである日本と、販売シェアが高い北米と中国に経営資源を集中投入する。一方で、欧州や東南アジア、南米など販売が弱い地域では、撤退こそしないものの、事業を大幅に縮小する。小型車や一部の次世代技術の開発は提携パートナーであるフランスのルノーに任せるなど、今後の成長投資も思い切って選別する。

日産はこれまで世界中に広く事業展開し、デパートのように軽自動車から小型商用車まで幅広い車種を自社開発して販売する「フルラインナップメーカー」だった。だが、実力以上のモデル数を抱えるあまり、経営資源が拡散して開発に遅れをとった結果、魅力的な新車を投入できずに販売で苦戦するようになった。

今回、そうした全方位戦略から事実上決別し、身の丈にあった中規模メーカーとして生き残りを目指す道を選んだわけだ。カギを握るのが、ルノーと三菱自動車との3社連合(アライアンス)の徹底活用だ。

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