コロナ疲れに染みる「シェイクスピア」名言4選 ペストに屈しなかった名劇作家から学ぶ叡智
新型コロナウイルスの影響で、世界中で「stay home」が叫ばれ、「自粛」が合言葉になっている。リモート会議にオンライン授業と対人・ライブを避けなければならない状況は、劇場や映画館などエンターテインメントの世界にも大打撃を及ぼしている。
困難からの脱却については、歴史から学ぶところが大きい。実際、感染症を扱った小説・映画が注目されており、その代表ともいえるのがアルベール・カミュが1947年に発表した小説『ペスト』だろう。
1564年生まれのシェイクスピアも、生涯で3回、この感染症の流行を経験している。人口20万人だったロンドンで2万人が死んだ1593~1594年の流行の直後に、誰もが知る『ロミオとジュリエット』を発表した。
これも知らない者はいない『ハムレット』初演の数年後の1603年には、3万人のロンドン市民が亡くなり、絶望感に包まれたに違いない。「生きるべきか死ぬべきか……」というセリフから浮かび上がる「死」の恐怖は、限りなくリアルなものであった。
さらに『リア王』が上演された1606年には、劇場が4カ月間閉鎖。時代を超える名作は、苦難と絶望感の中で誕生したものだったのだ。
先が見えない不安から虚しさに襲われたら、現代よりはるかに絶望的な状況の中で、永遠に色あせない傑作を残し続けたシェイクスピアの言葉から、折れない心の育て方の秘訣を拙書『心を支えるシェイクスピアの言葉』より紹介する。
運命の波に飲み込まれないための名言
行く手に荒れ狂う海が待ち受けるなら、
翻って熊の牙に立ち向かうだろう。」
『リア王』第3幕第4場
ブリテンの老王リアは、3人の娘に王国を分割して引退しようとする。長女と次女は父への愛を大仰に語るが、最愛の末娘は「何も言うことはない」と言い放ち、怒った王に勘当される。
長女と次女は、王国を譲られた途端、王に冷たく当たり、敬意も愛情もないことを暴露する。絶望の中で道化を連れて荒野をさまようリア王が、「逃れられない状況にあるなら、逃げないで戦うしかない」と言うセリフ。
娘2人に裏切られ、最愛の娘を勘当するという過ちをおかしたリア王を待ち受ける運命はあまりにも過酷。だが、とにかく逃げずに戦おうという姿勢からは、人間としての強さと誇りが伝わってくる。
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