中国の燃料電池車ブームは日本企業に追い風か

トヨタや現代に加え、地場企業も開発に注力

現在、中国では17の省・市がFCV支援政策を打ち出し、地場自動車メーカーやベンチャー企業など約400社がFCV事業に参入した。北京市では2022年北京冬季五輪に向けて、北京の空港と張家口市を結ぶ高速道路に水素ステーションが建設されている。

今年4月には北汽福田汽車、中国石油天然ガス(CNPC)、北京億華通科技の3社が、北京市に35メガパスカル(MPa)と70MPa対応の水素ステーションの建設で合意。上海市では、中国石油化工(Sinopec)が市内のガソリンスタンドに水素充塡設備を設置し、給油と給水素を一体化するビジネスモデルを導入し始めた。

また、上海汽車傘下のSHPTは、上海で燃料電池スタック工場(年産1万2000台)を建設し、常熟で燃料電池システム(年産2000台)の生産を計画している。同社製の燃料電池は上海汽車の自主ブランド車「栄威」FCVに採用されている。

広東省仏山市は2017年から国内初の水素ステーションを運営し、現在市内には水素ステーション8カ所が設けられている。深セン市では、深セン巴士など地場企業4社が今年に同市初のFCV路線バスの運行を予定し、水素ステーションの建設、燃料電池システムの研究開発にも取り組んでいる。

湖北省武漢市は2025年までに水素ステーション200カ所の建設、FCV3万台の導入を計画している。新興FCVメーカーの武漢格羅夫(Grove Hydrogen)は2019年に大型多目的スポーツ車(SUV)タイプのFCVコンセプトカーを公開した。中国企業初の炭素繊維を使用し、航続距離は1000㎞に達する。併せて今年5月に黄岡市でFCV産業パークを建設し、3年以内にFCVを2万台生産すると発表した。

また、武漢市に本拠を置く大手自動車メーカーの東風汽車が2018年からFCVコア部品研究の国家プロジェクトを主導し、昨年には国家電投集団科学技術研究院と提携し、FCV車両や電池スタックとシステムの開発を行っている。

高コストの中国版FCV

一方、現在中国製FCV乗用車の製造コストは約20万ドルとなり、日本製FCVの3倍程度に上るといわれる。コスト高だけではなく、FCVの部品技術、素材においては、地場企業は大きく遅れている。車両コスト全体の約半分を占める燃料電池システム分野では、上海重塑、北京億華通科技、清能股份、広東国鴻の4社が約7割のシェアを占めている。

スタック分野ではカナダのバラード社から技術導入した広東国鴻が約5割のシェアを占めている。膜電極分野では、元バラード技術者が創業した鴻基創能、フロリダ州立大学研究者が設立した蘇州擎動科技、雄韜電源(スタック生産)と武漢理工大学が設立したWuhan WUT Energyが主要メーカーである。現在、地場企業製スタックの体積効率密度は日本企業の半分程度にとどまり、膜電極の生産効率や信頼性・耐久性は依然向上する必要がある。

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