2014年2月3日の議事録には、例えば以下のような委員の言葉が残っている(カッコ内は筆者が追加)。
――催奇形性に対する懸念及び頑健性の高い有効性が示されていないことから、「申請効能に対する本剤の承認は困難であると考える」こと(という審査報告書の結論)に賛成。
――季節性インフルエンザに対してこの程度の有効性ですから、新型、再興型インフルエンザに効果があったとしても、オセルタミビル(一般名:タミフル)などよりは劣ると考えることは自然だと思いますし、「ほかの抗インフルエンザ薬が無効又は効果不十分」である場合に限定したとしても、致命率の高い新型、再興型に対する本剤の有効性はどの程度あるか疑問。
――どうしてこの薬が、季節性インフルエンザに効かないのに、そういう高病原性(インフルエンザ)、あるいは新型のものに効くかという根拠が今一分からない。
――危機管理的なことがあるから、今回はそれで了承しますけれども、今までそういうことで、ほかのプロトコールでやっていないことを認証している薬は、私が参加しているときには多分なかったと思うので、そこの居心地が悪いということ。
「アビガンは、一般的な承認薬とはまったく違うもの」
隈本教授はさらに続けた。
「効く『かもしれない』というだけで承認するのは、薬機法に基づく承認の枠組みから外れているのではないか。したがって、アビガンは、一般的な承認薬とはまったく違うものです。それをまず知ってほしい」
「季節性インフルエンザにも効かなかったのに、“同じRNAウイルスだから新型コロナに効くかもしれない”という推定は危うい。比較臨床試験でも結果が出ていません。そういう前提を飛ばして、テレビのワイドショーなどの報道が夢の新薬のような雰囲気になっていることに不安を感じます」
厚労省医薬品審査管理課は取材に対し、新型インフルエンザに対するアビガンの有効性について、「新型インフルエンザはまだはやったことがないのでわからない」としている。新型コロナウイルスの薬として正式に承認するにしても、必要な申請が製薬会社からまだ出ておらず、今度の見通しについても「話せることはない」とコメントした。
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