対韓輸出規制から1年、韓国が日本に「最後通牒」 5月末まで規制緩和しなければGSOMIA終了も

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韓国政府が5月末までに立場を表明せよと日本に最後通牒を送ったのは、2019年11月に終了を延長したGSOMIAについて再検討する時期に来たと判断したものと思われる。

韓国政府は2019年11月にGSOMIA終了を条件付きで延長すると発表した。その当時、具体的な延長期間は設定しなかったものの、実際には数カ月程度になると判断していた。GSOMIAは相手国に対して終了を通知しなければ1年単位で自動的に延長されるため、1年間このまま何もしないと、事実上GSOMIAは延長される。韓国政府はGSOMIAを継続させるためには、日本側がまず輸出規制措置を撤回すべきとの立場をとっている。

輸出規制と徴用工問題で溝は埋まらず

これに対し、日本は輸出規制に関する協議に消極的であるため、韓国政府としてもGSOMIAの終了を延期してから6カ月が経過し、日本が輸出規制を撤回する可能性があるかどうかを最終的に打診する必要があった。日韓外交当局は2020年4月、日本の輸出規制と元徴用工への賠償問題を議論する局長級協議を行ったが、依然として両国間の主張の溝を埋めることはできなかった。

韓国大統領府の高官は5月12日、「双方はこれまで水面下での対話を進めてきたが、日本側の誠意が見えないと聞いている。そのため、2019年11月に中断していたWTOへの提訴手続きを再開すべき状況に至ったと判断したものだ。輸出規制措置に対し、日本政府が何らかの行動をとるのかどうかを見極めなければならないが、日本の態度が変わらなければ韓国政府はこれ以上(GSOMIA終了の判断を)引き延ばすことは難しい」と述べた。

韓国政府はいったん日本からの回答を受け取った後、GSOMIAを終了させるかどうかを検討する計画だ。韓国外交省関係者は、「すべてのオプションがテーブルに載せられている。とはいえ、GSOMIAを終了するかどうかを本格的に検討する時期ではない。今は日本側にボールがある」と言う。

今回の最後通牒は、新型コロナウイルスによって輸出が厳しくなっている韓国企業にとって、将来への不安を1日でも早く取り除こうとする目的もあるようだ。前出のイ・ホヒョン貿易政策官は「韓国企業にとって将来への不安が高まっているため、その不安感をできるだけ解消したほうがいいという側面がある。あえてこの時期に5月末という期限を設定したことは、韓国側が原状回復に向けての条件をすべて満たしているため、これ以上(日本側に)時間を与える必要はないと判断したため」と明言した。(「ソウル新聞」2020年5月13日)

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