全国1位は「超」意外、定期券割引率ランキング 160以上の鉄道事業者を調査、過去との比較も

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大手私鉄・地下鉄ランキングで通勤定期割引率が最も大きかった名古屋鉄道(45.1%)は18位。大手私鉄最下位の京成電鉄(36.0%)は103位だ。地下鉄最下位の札幌市営地下鉄は153位。こうして見ると、中小私鉄や3セク鉄道が健闘しているようにも思える。ただ、普通運賃が高いため定期券割引率が大きめになっているという可能性はある。

続いて、通学定期について見ていこう。割引率が最も大きい鉄道事業者は名鉄で82.2%。大手私鉄・地下鉄のランキングでも1位だったが、その割引率の大きさは全国でも1位だ。上位陣の顔ぶれを見ると、3位西日本鉄道、4位京浜急行電鉄、近畿日本鉄道、6位西武鉄道、7位京阪電鉄、8位京成電鉄、9位東武鉄道、10位阪急電鉄と大手私鉄がずらりと並ぶ。通勤定期1位の黒部峡谷鉄道は通学定期の設定がない。

3セク鉄道では青森県の青い森鉄道が81.8%で2位と健闘している。2002年の東北新幹線・盛岡―八戸間開業に伴い並行在来線としてJRから経営分離されることになった在来線の目時―八戸間を引き継いだ。2010年には同じく東北新幹線・八戸―新青森間開業に伴い並行在来線としてJRから経営分離された八戸―青森間を引き継いだ。2011年には県立高校の移転に合わせて駅を1.6km移転させるなど、高校生の利便性向上に力を入れている。

通学定期割引率のワースト1位は鳥取県の若桜鉄道の39.4%。八頭高前―郡家間の普通運賃は100円で、運賃が安い鉄道会社として知られている。運賃が安いため、割引率が小さくなってしまったのかもしれない。

30年間で割引率が拡大したのは?

通勤、通学定期ともに1990年当時の割引率と順位も調査した。通勤定期で割引率が最も拡大したのは秋田県の3セク、由利高原鉄道で、1990年の30.0%から2019年には44.8%となり、大きく順位を上げた。東京都交通局の都電(荒川線)もこの間に割引率を25.0%から36.9%に拡大している。

通学定期では割引率が最も拡大したのは東京都電で、割引率を40.0%から65.6%に大きく引き上げた。京福電鉄も割引率を58.3%から69.7%に拡大している。

新型コロナウイルス感染拡大を抑えるため、テレワーク化が進んでいる。コロナ禍が収束したら、人々の通勤スタイルはこれまでとは違うものになるのだろうか。鉄道事業者の側でも通勤ラッシュ時の鉄道の混雑率を減らすための取り組みを始める可能性がある。通勤定期や通学定期の割引率も影響が出るかもしれない。

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