金正恩氏、20日ぶりに報じられた「動静」の意図 空白期間に金氏はどこで、何をしていたのか
「重体説」や「死亡説」が流れていた北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長が、20日ぶりに公の場に姿を現した。
朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」や朝鮮中央テレビなどの北朝鮮メディアは5月2日、平壌北方の順川(スンチョン)にあるリン肥料工場の完工式に金委員長が出席し、テープカットを行っている様子を伝えた。この完工式には金委員長の他に、実妹である金与正・党中央委員会第1副部長も同席した。
4月下旬から世界のメディアが繰り返し報じてきた金委員長の「健康異常説」に、ひとまず終止符が打たれることになった。この異常説は、米韓メディアが「重体」「死亡」などと報道したことで火がついた。4月15日に毎年行っている故・金日成主席の誕生日に、金主席の遺体が眠る錦繍山太陽宮殿に金委員長が参拝しなかったことが根拠の一つとされた。
過去にもあった「空白期」
北朝鮮メディアが報道した金委員長の様子を見ると、動静が確認された4月10日の砲撃分隊訓練や11日の党政治局会議、12日の空軍視察当時の姿とそれほど変わりなく、ことさら健康が悪化した気配はうかがえない。
今回の健康異常説について、韓国政府やアメリカのトランプ大統領は否定的な反応に終始した。韓国政府は一貫して「特異な兆候は認められない」と主張。その理由の一つに、金委員長が政権を本格的に担うようになった2012年以降、自らの動静が消えた「空白期」が何回かあったことを挙げた。具体的には、短い時で2016年の11日間(4月25日~5月5日)、長期間にわたったケースとして2014年の39日間(9月5日~10月13日)、動静が報じられなかったことがある。
もっとも長かった2014年の場合、空白期の後になって現地指導でステッキを手にする金委員長の姿が確認されている。これは足の手術のせいであるとされた。また、「(金委員長は)不便な身体でも人民のために指導者としての道を続けられている」とのナレーションが、記録映画にも残されている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら