コロナで危機「地方交通」、まず必要な対策は? 乗客大幅減で「生活の足が奪われかねない」
もともと地域輸送は厳しい財政状況の中で補助金によって支えられてきた面があり、さらなる公的支出によって維持することに対しては異論もあるかもしれない。また、現状維持ではなく新型コロナ収束後の社会の変化を見据えた交通体系の議論が必要との声もある。
だが「コロナ後」の社会がどう変化していくかはまだ予想可能な段階にはなく、議論を尽くす時間もない。議論を尽くしている間に交通事業者が倒れてしまえば、コロナ収束後に地域輸送を再編するにも、再整備するにも大きなコストがかかる。
さらにいえば、こうした緊急の支援が必要なのは地域輸送を担う中小交通事業者だけではない。4月28日にJR東日本が発表した2020年1~3月期の連結決算は、営業損益が464億円の赤字だった。大手でも苦しい状況の中、交通事業者はこのまま移動自粛の流れが続けば規模にかかわらず危機的状況に陥る可能性がある。
データで「窮状」を明らかに
だからこそ、まずは地域輸送を担う中小交通事業者が倒れないように「止血」をする必要がある。つまりは運行補助金の増額や特例的な補助金をはじめとした緊急の支援が求められているのである。そのためにも、まずは交通事業者自身がデータに基づく窮状を示していくことが重要であろう。
全国ハイヤー・タクシー連合会の川鍋一朗会長はフォーラムで、政治家も優先順位をつけるのに困っているところで、まずはあきらめずに各事業者が声を上げ、業界団体で意見をとりまとめて議員連盟などに何度も果敢に要望することが必要なタイミングだと述べた。
1人あたり10万円の給付金も世論の後押しがあって実現した。だからこそ、いま地域輸送を担う交通事業者や関係者には継続的に声を上げてもらい、必要な施策を求めていくことが重要になる。さらに、普段利用者となっている人々も事業者が声をあげる後押しをするのが望ましい。こうした取り組みによってコロナ禍後にじっくり未来の交通を考える下地を残していくことが、いま求められている。
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