原油大暴落なのに銅はなぜか上昇している「謎」 景気を映し出す「2つの鏡」はどっちが正しい?
3月中旬のパニック売りが収まり、4月以降の金融市場は急速に落ち着きを取り戻しつつある。NYダウ平均株価は一時、ドナルド・トランプ大統領就任後の上昇をほぼ帳消しにした後、前例のない大胆な財政政策と金融政策の併せ技が奏功したことなどから4月28日には一時2万4510ドルまで戻した。日経平均株価も2万円回復を視野に入れるまで持ち直すなど、グローバル金融市場は安定してきた。
このまま落ち着きを維持するのか、あるいは2番底をつけに行くのか。そこで今回は「銅」と「原油」に注目しグローバルマクロ動向の把握に努めたうえで、新型コロナウイルス問題が発生する以前の注目テーマであった「5G」に注目し、株式市場を展望していく。
「奇妙なメッセージ」は何を意味するのか?
世界経済の強さを映し出す鏡として有用なコモディティ価格(商品市況)が奇妙なメッセージを発している。「銅」が景気の回復(期待)を映して反発する一方、「原油」は歴史的低水準へと下落し、先物市場で一時マイナス圏に転落した。この乖離は何を意味しているのか、それぞれの背景を整理していく。
まずは、4月以降底打ち感が明確化してきたのが「銅」だ。銅はありとあらゆる工業製品に用いられるため、その価格は景気の強さを映し出す。実際、銅はグローバル製造業PMI(購買担当者景気指数)など多くの企業景況感調査と密接に連動する。
また、その値動きは株価に先行することもしばしばある。それゆえ「炭鉱のカナリア」「ドクターコッパー」といった異名を持ち、その嗅覚を発揮したのは株式市場でコロナショックが発生する前の1月下旬から2月上旬にかけてである。2月上旬といえば、「新型コロナウイルスは中国とアジア地域における一時的問題」とグローバル金融市場で軽く扱われ、欧米の株価が最高値更新を続けていた時期だ。その頃に銅価格は急落の第1波を観測し、世界経済の減速に警鐘を鳴らしていた。
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