新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)でニューヨーク市の経済が打撃を受ける中、ビル・デブラシオ市長は4月16日、今後1年間にわたり市の行政サービスを20億ドル(約2150億円)以上圧縮せざるをえなくなったと語った。
公営プールの閉鎖、ごみ収集の削減、交差点で交通整備を行う警察官の削減、スタテン島フェリーの夜間サービスの縮小など、影響は生活の全領域に及ぶ。
9月までに50万人が失業の可能性
893億ドルという厳しい行政予算に組み込まれた、これら行政サービスのカットは、ニューヨーク市がいかに新型コロナ流行の中心地となったかを映し出している。今回の感染拡大で1万人を超える市民が死亡し、何千ものビジネスが閉鎖され、かつては活気のあったニューヨーク市のホテルが空っぽになり、ブロードウェイの明かりも消えた。
さらに何十万人ものニューヨーカーが失業し、2020年度と2021年度の市の予算からは74億ドルの税収が失われる見通しだ(編集部注:ニューヨーク市の会計年度は7月〜6月)。
「平時なら重点的に取り組みたいことであっても、戦時に取り組むことはできない」と、デブラシオ市長は毎日行っている定例会見で語った。「そして今は事実上の戦時下にある」。
この予算は市議会の承認待ちだが、昨年度の予算規模を35億ドル、同市長が今年1月に発表した予算案を60億ドル下回る。市長が提案した行政サービスの削減は、市議会によって一部却下される可能性もある。
新型コロナの感染が広がる前、ニューヨーク市の税収は好況を背景に大幅に増加し、デブラシオ市長は歴代市長に比べ公的支出を増やすことができていた。しかし現在、同市では今年9月末までの9カ月間で50万人が失業すると予想されており、過去10年に及ぶ雇用拡大に終止符が打たれた。
失業は第2四半期(4〜6月)に集中し、その半数は小売、レジャー、サービス業界で発生するとみられている。