「危機がいつ終わるかはわからない」とデブラシオ市長は語った。「幸い、いつかは終わりが訪れる。だがそれがいつかになるのか、またどのようにして終わるかもわからない。わかっているのは、人々が被る打撃が今後も拡大していくこと、そして歳入がさらに落ち込むおそれがあるということだ」。
現在2期目を務めるデブラシオ市長(民主党所属)によれば、予算は市民の安全、健康、住居、食料の確保という4つの基本政策に重点配分されている。「市民に基本的なものを提供できなければ、回復なんてありえない」というわけだ。
各都市や州からの財政支援を要求
財源を確保するために市は貯蓄に手をつけ、一般積立金から9億ドル、財政調整基金から2・5億ドル、退職者医療補助基金から26億ドルを引き出す。これにより退職者医療補助に影響が出ることは短期的にはない。
しかし、新型コロナ関連の経費は増える一方だ。ニューヨーク市はすでにウイルスとの闘いに7億ドルを費やしており、今年度末までに35億ドルに達するとみられる。ニューヨーク州予算の削減も不安要素で、デブラシオ市長は州からの財政支援が8億ドル減額されると予測する。
デブラシオ市長は、各都市や州に財政支援を行うよう連邦政府に繰り返し呼びかけてきた。航空業界に対する救済措置を批判し、ニューヨーク市が受け取った直接の支援は14億ドルに過ぎないとも主張している。
「この国最大の都市こそ救済すべきではないのか。人々が困難に直面している危機の中心地こそ救済の対象とすべきではないのか」と、デブラシオ市長は疑問を投げかける。
連邦政府にどの程度の支援を期待しているかと聞かれると、市長はこう答えた。「連邦政府には失われた歳入を全額補填してもらう必要がある。議論の余地はない」。
「大統領は声を上げてくれるだろうか」と、デブラシオ市長は問いかけた。「トランプ大統領が声を上げれば、共和党の上院議員もそれに従うはずだ」
一方、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は記者会見で、迫りくる財政赤字について他の自治体とも同じ会話をしたが、州の答えは変わらないと話した。「(支援は)無理だ」。