中国経済の崩壊は、いよいよ今年か? 数多くの「予兆」に、勢いづく「万年弱気派」

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4月3日、中国経済に対する弱気論者は10年以上も前から不動産バブルの崩壊や債務危機など、破滅的な事態を予言し続けてきた。これまでは予想が裏切られることの連続だったが、今年は様相が違うとの声が挙がっている。写真は中国の国旗。北京の建設現場で昨年11月撮影(2014年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[シンガポール 3日 ロイター] -中国経済に対する弱気論者は10年以上も前から不動産バブルの崩壊や債務危機など、破滅的な事態を予言し続けてきた。これまでは予想が裏切られることの連続だったが、今年は様相が違うとの声が挙がっている。

懸念をもたらしているのは、資金調達コストの上昇、人民元相場の不安定化、短期金融市場の流動性危機、社債のデフォルト(債務不履行)といった数多くの要因だ。万年弱気派が「それみたことか」と言える日がついに訪れるのだろうか。

「巨大で歴史的な動きが起こる。恐らくそれは今年だ」と警告を発するのは、過去15年間、中国経済の崩壊を予想し続けてきた中国系米国人の法律家でコラムニストのゴードン・チャン氏だ。

エコノミストのアンディー・シー氏が行う講演は、中国の不動産と株式市場が崩壊すると予言する内容で人気を集める。ただ、「聴衆はお金を払って聞きに来て、恐れをなすが、会場から出ればまた楽観的になる」と述べ、講演がホラー映画のような娯楽と化しているとシー氏は説明した。

分岐点

中国の景気が減速し、民間債務が国内総生産(GDP)の2倍に膨らんだデータが示されたことで、今年は弱気派が勢いを増している。

習近平国家主席は投資主導から消費主導経済への転換を図る決意だが、それには急激な景気減速と債務デフォルトが避けられないため、中国は分岐点を迎えているのだ、と弱気派は言う。

チャン氏は、毛沢東氏の死去以降30年間の中国経済の近代化が深刻な支払い不能状態やデフレ、汚職を覆い隠してきたが、最終的には破綻を迎えると主張。世界金融危機を受けて中国政府が2008年に実施した大規模な景気対策が無ければ、崩壊は既に起こっていたと言う。

著名投資家のジョージ・ソロス氏も中国経済について警鐘を鳴らす一人だ。ソロス氏は最近、中国の「幾何級数的な債務増大」について記し、このような債務増大はあと数年しか持続できないと予告した。

モルガン・スタンレーのアナリストチームは中国経済について弱気論を繰り返し唱えており、先月は中国が「ミンスキー・モーメント」を迎えたと指摘した。これは経済学者ハイマン・ミンスキー氏にちなんだ言葉で、投機的な借り入れに煽られた信用ブームが崩壊を迎える時点を示している。

債務水準が限界に

2008年に中国株市場の暴落を繰り返し予言し、地元メディアに「米国のオウム」と名付けられたエコノミストのシー氏は今、不動産市場の暴落を予想している。「1年以内に人々は大混乱に陥るだろうが、彼らは今、そのことについて語りたがらない」という。

ブロガーとしても著名な北京大学・光華管理学院のマイケル・ペティス教授は、2022年までの10年間に中国の経済成長率は平均3─4%に急減速すると予想する。教授は、これまで認識できなかった損失が今後は成長率に織り込まれ、正確な数字が算出されるようになるため、成長率はさらに低下すると説明した。

ペティス教授も、債務規模が金融市場に困難をきたす水準に達した途端、中国経済が急停止するリスクはあると認める。と同時に、中国政府は景気をうまく減速に導き、債務が限界に達するのを避けることができるとも予想している。

(Vidya Ranganathan記者) 

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