「暴力の連鎖」を断ち切った20代女性の半生 福祉制度を「フル活用」して生き延びてきた

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堀井さんは明るい。だが、笑顔で収納した洋服をいじっているとき、左手首にかなり激しい自傷痕が見えた。傷は何重にも重なって縫った痕もあり、傷のまわりの皮膚はただれている。リストカットの傷の数だけ、これまで精神的なストレスを抱えていたということだ。イレギュラーだが、まず手首の傷について質問する。

「リストカットは18歳くらいから。いまもたまに」

主治医の診断書には統合失調症、情緒不安定性パーソナリティ障害、解離性障害と、病名が並ぶ。生活保護を受給して安定しているいまでも、気持ちの浮き沈みはそれなりに激しい。

「恥ずかしい話ですけど、出会い系サイトとかで男性を見つけて不特定多数と肉体関係をもっちゃうんです。本当はそんなことはしたくないのに、しちゃう」

自傷行為は決して死ぬためにするわけではない。自分のカラダを傷つけることによって、苦しい状態から逃れるための行動だ。自傷の症状は重く、自分のカラダを刃物で切るだけではおさまらない。不特定多数の男性と、心の底では望んでいない肉体関係に走ることがある。

「行為が終わると、すごく後悔。男癖の悪い母をずっと見て、自分はそうなりたくないって思ってた。不安定になると傷つけられたい自分と、尊重されたい自分といて、傷つけられたくない自分が傷ついている。そんな感じです」

不安と自己嫌悪に襲われ、繰り返す入退社

20代前半から何度も働くことにチャレンジしている。しかし、いまのところほとんど続かない。履歴書も見せてもらったが、1~2カ月で入退社を繰り返している。

昨年夏、希望していたお店に採用された。障がい者雇用で採用され、最低賃金の時給930円はもらっていた。

「精神障害は伝えていたけど、健常者の人しかいなかった。ハンディがない人からしたらやっぱりわからなくて、話しかけてすらもらえなくなった。しんどくなって2週間休むとかを繰り返しちゃって、結局休んだことがまた引け目になってOD(薬物の過剰摂取)して辞めちゃいました」

昨年9月、生活保護に戻り、現在に至る。成人してからは生活保護と短い就労を繰り返し、自立して生活することができないでいる。

生活保護によって、現在は安定した日常生活を送っている。しかし、これから長い人生がある20代の若者の現状としては厳しい。どうして、そうなってしまったのか。

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