ヤリスHVの登場で「アクア」に活路はあるのか 累計180万台のブランドを生かす独自価値を

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

アクアは、HV専用の5ナンバー車として広く愛されてきた。そこでHV専用車としての進化の仕方も考えられるが、プリウスにプラグインハイブリッド車(PHEV)があるように、電動化をさらに一歩進める車種として、独自の存在感を示してくれるといいのではないか、と考える。

さらにいえば、トヨタにおける(レクサスではなく)国内市場向け最初の電気自動車(EV)として転換する道も考えられる。

レクサスブランドではEVの「UX300e」を市販することを発表している(写真:トヨタ自動車)

寺師茂樹副社長は、「2030年までに日本市場に最適な右ハンドルのEVの導入を考える」と昨年6月の「EVの普及を目指して」という記者会見で述べた。

そのEVに、アクアを当てはめるべきだと思うのだ。初代アクアが誕生してから時間も経過しており、2030年までという計画の前倒しがあってもいい。

世界的な電動化の動きのなかで、リチウムイオンバッテリーの原価が高いとの理由から、EV化される車種の多くが、高価格帯モデルである。しかし、本当の普及を目指すなら、5ナンバー枠のコンパクトなEVが不可欠だ。そこをアクアの2代目がEV専用車として担ってもいいだろう。

「ホンダe」「MX-30」の登場で不安になる販売店

トヨタは、自動車メーカーからモビリティカンパニーを目指すと方針転換している。そして、都内の販売店を「トヨタモビリティ東京」に統一し、すべての車種をすべての店舗で扱う体系とし、サブスクリプションサービスのKINTOを2019年から試行するなど、新たな販売戦略を模索している。

KINTOには、KINTO ONEと、レクサス用のKINTO FLEXの2種類あるが、トヨタ向けのKINTO ONEに短期間で乗り換えできるKINTO FLEXの要素を加え、EVを短期間だけ試せる施策を導入すれば、実体験からEVに対する不安や懸念などを払拭したり、消費者の要望を吸い上げたりすることもできる。

電動化へ向けた試行錯誤を行ううえでも、アクアのような知名度のある車種をEV化し、市場投入する意味はあるだろう。実はある販売店の営業担当者から、EVがトヨタにないことへの不安の声を耳にしている。

ホンダが発売を予定しているEV「ホンダe」(写真:ホンダ)

例えば今後、「ホンダe」やマツダ「MX-30」が発売となれば、プリウスやアクアからホンダeや日産「リーフ」へ、また好調なSUVの「RAV4」や「C-HR」からMX-30へ乗り換えるユーザーがいてもおかしくない。

さらに、価格帯からいえば、「クラウン」や「マークX」からテスラ「モデル3」へ乗り換える人もいるかもしれない。テスラからは、まもなくより小型のSUVである「モデルY」も導入される。そのとき、トヨタに一台もEVがないことに、販売店は不安を覚えているのである。駒がなければ、商談にもならない。

次ページ豊田章男社長が呈した疑問に答えられるか
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事