ヤリスHVの登場で「アクア」に活路はあるのか 累計180万台のブランドを生かす独自価値を

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トヨタのHVといえば、1997年の「プリウス」が代表であり、その後モデルチェンジを繰り返して2009年には3代目となっていた。人気は右肩上がりで上昇していたが、一方で2003年に登場した2代目からは3ナンバーボディとなっており、5ナンバーだった初代から様変わりしていた。

プリウスの販売に勢いをつけたのは、3ナンバーとなった2代目からだが、これは2001年に次世代車導入のためのグリーン化税制が動き出したことが背景にある。さらには、乗り換えに対するエコカー補助金も含めた強化策により、3代目で飛躍的に販売台数を伸ばした。

プリウスの販売台数を飛躍的に伸ばした3代目モデル(写真:トヨタ自動車)

しかし、これは5ナンバーサイズだった初代プリウスを愛用した人たちを置き去りにしてきたとも言える。そこに、5ナンバーのHVとしてアクアは登場して、たちまち人気車種となったのだ。日本市場において、いかに5ナンバー車が重要であるかの一端を示したとも言える。

その成果を販売台数で確認すると、日本自動車販売協会連合会(自販連)の乗用車ブランド通称名別順位によれば、2019年1~12月の年間販売台数で、アクアは10万3803台を販売し、5位につけている。1位はプリウスで、12万5587台だ。

ちなみに3位が「シエンタ」で、4位はカローラである。ヤリスが販売される直前となる昨年のヴィッツは、年間販売台数が8万1554台で10位であった。

2017年のマイナーチェンジを機にヴィッツにもHVが追加となったが、すでに「HVといえばアクア」という認知度が日本国内では広まっており、販売台数、順位ともにアクアとの開きは埋まらなかった。それでもベスト50の10位で年間8万台以上の実績は、月販台数平均で6800台近い数字であり、ヴィッツの販売は根強かったともいえる。

ヤリスHVの登場で発売9年が経つアクアは?

ヴィッツは、今年からヤリスとなって仕切り直しが行われたわけだが、ヤリスは当初よりHVを揃えている。また実は、国内でのヴィッツ時代にも海外で販売されたヤリスには、HVが存在していた。

欧州で販売されていた先代ヤリス(ヴィッツ)のハイブリッドモデル(写真:トヨタヨーロッパ)

アクアのハイブリッドシステムをヤリスに搭載していたのである。この機会に国内でもヤリスにHVをラインナップするのは、自然の成り行きである。

では、車格がほぼ同じHV専用車であるアクアの行方はどうなるのだろうか。2011年の登場後、2014年と2017年にマイナーチェンジを受けているが、フルモデルチェンジはまだ行われておらず、初代のままだ。しかも、ヤリスにHVが存在するとなると、HV専用車としての価値がどれほど残るのか、見えてこない。

モデルチェンジに関するトヨタからの情報はまだ手元になく、ここから先は筆者の想像と期待である。

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