「コウペンちゃん」ほめてほしい現代人に刺さる 自分を肯定してもらいたいから、圧倒的共感

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実際にコラボした企業の評価は高い。3月には、西武鉄道が1年前から実施してきたコラボキャンペーンについて、さらに1年間の延長を発表した。記念乗車券の発売やマナー広告への採用、スタンプラリーの実施に加え、全体をコウペンちゃんでラッピングした車両を運行。石神井公園駅の一部の駅名標を「しゃくじいコウペンえき」にしてしまうほど、本腰を入れたコラボだった。

3月23日から運行を開始した30000系「コウペンちゃんはなまるトレイン」。先頭車両から内部までコウペンちゃん一色だ(写真:西武鉄道)

結局、1年間の予定だったが、キャンペーン終了を惜しむ声が多く寄せられ、延長を決めたという。「人々を癒やしながら沿線を盛り上げ、ほかの沿線のお客さまにも西武鉄道を利用していただくきっかけづくりとして、実施してきた。電車や看板、ポスターを見て『癒やされた』『元気が出た』『乗ってみたい』などの言葉をいただいている」(西武鉄道)。ファンだけでなく沿線住民にも、その存在は認められているようだ。

多忙を極める中でも、るるてあさんが「いちばんの仕事」として大切にしているのが、毎朝6~7時ごろに投稿するツイッターのイラストだ。ファンにとって、毎朝コウペンちゃんに会えることは、重要な楽しみなのである。欠かさず発信してきたことによって、ファンとのつながりは非常に強いものになっている。

ツイッターを中心に商品やイベントを逐次アピールすれば、ファンは実際に店舗やイベントでの購買に動く。結果的に原点であるツイッターでの発信を重視してきたことが、ビジネスの拡大にもつながっているのだ。

働く人や家庭を守る人に寄り添う

今後の展開についてスパイラルキュートの川上代表は、「知名度は全体から見ればまだ2割程度。イベントなど、いつもどこかで何かをやっている状況を作っていきたい」と意気込む。海外展開も加速する構えである。すでに中国や台湾、韓国でイベントやグッズ販売を展開し、中国ではEC大手のアリババグループがライセンスのエージェントを務めている。近くアジアでの活躍も見られそうだ。

コウペンちゃんはアーティストともコラボしている。ロックバンドの打首獄門同好会「布団の中から出たくない」のミュージックビデオに登場。歌詞もコウペンちゃんのキャラクターとリンクしており、ファンにはおなじみの曲だ(動画:打首獄門同好会)

 

さまざまな舞台で活躍するコウペンちゃんだが、どれだけ人気者になっても、その優しさは少しも変わらないよう。「今まで通りやっていきたい。コウペンちゃんはいっぱいいて、どこにでもいる。見てくれる人が、自分のそばに生活の中にコウペンちゃんがいると思ってもらえたら、嬉しい」(るるてあさん)。

社会生活の中で大人が成果を求められるのは当然のことだろう。その反面、働く人や家庭を守る人の心は置いてきぼりになってはいないだろうか。コウペンちゃんはこれからも、そうした人々に寄り添い、些細なことをシンプルな言葉で応援していくつもりだ。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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