自粛中にゴロゴロする人と勉強する人につく差 社会人は今こそ「学び直す」いいチャンスだ

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拙著の中で提唱しているもう1つの独学法は、「学ぶために教える」ということです。

「逆ではないか?」と思われるかもしれません。「学ぶのは、それについて知らないからであり、教えることなどできないではないか」と言われるかもしれません。しかし、そうではないのです。あることを学ぼうとするとき、それについて学習するのではなく、それについて誰かに教えようとするのです。

例えば、公認会計士の試験に合格するために、簿記の勉強が必要であるとしましょう。多くの人は、そのために簿記の学校に通って講習を受けようとするでしょう。しかし、私が提案する方法は、そうではなく、例えばウェブサイトに「野口悠紀雄の簿記講座」を開講してしまうということです。そして、そこに自分が解釈した会計学の体系を作っていきます。

この記事は公開しているので、間違いがあってはなりません。正しい内容にするため、念入りに勉強します。また、教科書に書いてあることをそのまま写すだけでは誰も興味を持って読んでくれないでしょうから、新しい解釈や見方などを付け加えます。そのためには簿記の教科書に書いてあることを表面的に理解するだけでなく、もっと深い理解が必要になります。

このようにして会計学の勉強を進めていくことができるわけです。

独学は楽しい

こうしたことを行っていると、独学で勉強するのがいかに楽しいかがよくわかります。

実は、私自身が、現在執筆などで必要とされる知識の多くを、独学で習得しました。私は、大学では工学部で勉強したのですが、あるときもっと広いことを勉強したくなり、公務員試験を経済職で受験しました。このときに、まったくの独学で経済学を勉強したのです。どのように勉強したかは、『「超」独学法』に詳しく書きました。経済学の大系にしたがって最初から勉強したのではなく、公務員試験の「過去問」に答えることで勉強したのです。

『「超」独学法 AI時代の新しい働き方へ』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

もともと、勉強は楽しいものです。自分の実力を向上させてくれるというだけではありません。それまで知らなかった新しい世界を見せてくれます。こうした勉強の楽しさは、学校に通って先生の言うことを受動的に受け入れているだけでは、なかなか実感しにくいものです。独学によって自ら新しい世界を切り開いていくことによってこそ、勉強することの楽しさを実感することができます

コロナウイルスの問題は、われわれの生活に大きなストレスを与えています。それができるだけ早く終息してくれることを心から願ってやみません。ただ、このことを、単に試練とだけ考えるのではなく、積極的に受け止めることも必要です。そのための具体的な方法が、この機会に独学で自分の能力を飛躍的に高めることなのです。

野口 悠紀雄 一橋大学名誉教授

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のぐち ゆきお / Yukio Noguchi

1940年、東京に生まれる。 1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、一橋大学名誉教授。専門は日本経済論。『中国が世界を攪乱する』(東洋経済新報社 )、『書くことについて』(角川新書)、『リープフロッグ』逆転勝ちの経済学(文春新書)など著書多数。

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