積水ハウス元会長「株主提案は復讐じゃない!」 元会長と現役取締役が語る株主提案の理由とは
定時株主総会は4月23日に行われる。株主提案の狙いはどこにあるのか、2人に話を聞いた。
――今回、株主提案に至った背景は?
和田:(約55億円だまし取られたことについて)地面師事件ととらえると、積水ハウスが被害者になってしまう。しかし現実はそうではない。積水ハウスはだまされた被害者ではない。
(株主提案者と協力関係にある「Save Sekisui House」で公開されている調査報告書の全文によると)ペーパーカンパニーと取引したり、支払いに預金小切手を使ったり、取引を止めるように内容証明郵便をもらったりしている。(阿部・現会長らが)自分たちでどんどんハードルを下げて取引をしにいった。
積水ハウスが(犯人らに)支払ったお金がどこにいったかさっぱりわからない。アメリカではマネーロンダリングの典型例だと言われている。
日本企業のガバナンスは甘すぎる。アメリカでこうしたことがあれば刑務所行きだという。事件(の真相)を隠しているうちに、にっちもさっちもいかなくなる。
会社が未来永劫に繁栄し続けるにはガバナンスが大事だ。そのためには問題を明らかにして透明性を確保することが必要だ。今回は株主提案の候補者11人のうち、圧倒的過半数の7人が社外取締役。何かおかしいことがあったら(社長の)クビを取れる仕組みにしないと緊張感がない。
社会通念から逸脱している
勝呂:投資家を訪問すると、一様に「おかしいよね」という。ただし、「(地面師事件で騙されたことは)違法ではないから不正とは言えないのでは」とみている人が意外に多い。不正かの判断も含め、内容の開示は会社の裁量にあると考える人もいる。
私たちは「これは不正だ、違法だ」とか、法律的な論争をするつもりはない。私たちが問題にしたいのは、「積水ハウスは会社の使命や社会通念に照らして、意味のある事業をしているが、今回はそうしたものから逸脱している」ということだ。
裁判上は(積水ハウスは)被害者という立て付けで進んでいると聞いているが、積水ハウスは被害者というだけでなく、不正にほかならないと感じている。株主のお金を預かっている責任として、何が起きたか、(経営陣が)説明をする義務がある。
(地面師事件の調査報告書には)取締役にも責任があるとしている。取締役は自分たちで決めて給与の返上をしたが、それでは済まないレベルだ。
にもかかわらず、(調査報告書の概要発表で済ますという形で)隠蔽をした。これでガバナンスの姿がねじれてしまった。かつて中国では新幹線事故の証拠を地中に埋めてしまったが、今回の地面師事件も証拠を埋めようとしている。(株主に)きちっと説明をして、理解をしてもらって判断を仰ぐべきだ。
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