「新型コロナ大恐慌は来ない」と断言できるか

雇用状況はこれから悪化、インフレリスクも

では今回の景気対策法案によって、米経済は危機を脱することができるのだろうか。その答えはおそらく「否」であろう。

確かに、2兆ドルという記録的な財政支出は、大人一人当たり1200ドル、子供には500ドルという現金支給や失業保険の給付の期間延長、減税、企業への融資や補助金に充てられる。

だが、それで足元の需要の喪失を補填できる保証はない。1200ドルの直接給付はかなりの効果が期待できるとはいえ、ニューヨークなどでは外出禁止令が出され、レストランや劇場などが閉鎖されており、積極的にお金を使おうと思っても選択肢がない、というのが現状だ。

結局は新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかかり、主要都市が機能を回復してくるまでは、こうした財政出動も最悪の事態を回避する程度の、限定的な効果しかないと見ておいたほうがよい。下院での法案成立後は、材料出尽くし感もあって、一時は株が大きく売りに押される展開となったが、こうした市場の動きが何よりも今の状況を象徴しているのではないか。

景気刺激策は金融、財政両面で途方もない規模に

当初トランプ大統領は、景気のさらなる落ち込みを危惧し、4月12日の感謝祭までに人々の行動制限を緩和、都市機能と経済を通常の状態に戻したい意向を示していた。

だが、ウイルスは政治家の都合でコントロールできるものではない。実際、週明けには「不要不急の移動や多人数の集まりを控える」という行動指針を、少なくとも4月末まで延長する意向を明らかにしている。

広範囲におよぶロックアウトも含め、行動制限が厳格、長期化する可能性も十分に高い。そうなれば追加の財政支出を行う必要に駆られることになる。先に米連邦公開市場委員会(FOMC)が当面量的緩和を無制限に行うという緊急声明を発表したのと合わせ、景気刺激策は金融、財政両面で途方もない規模に膨れ上がることになるだろう。

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