世界で賞賛される「韓国」コロナ対策の凄み 行動制限を課すことなく増加曲線を抑制

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このパターンにより、アウトブレイクが明白になるまで1、2週間のタイムラグが生じる。一握り程度に見えた患者数が実は数百人、数百人に見えたものが実は数千人ということもありうる。

「このウイルスのこのような性質により、閉鎖と隔離に重点を置く従来型の対応は非効果的となる」と韓国保健福祉部次官キム・ガンリプは語る。「(感染者数が)いったんある程度に達してしまうと、古いやり方では感染拡大の防止に効果はない」。

1日当たりの検査率はアメリカの40倍

教訓2:検査は早く、頻繁に、安全に

韓国はほかのどの国よりもはるかに多くの人を検査してきた。そのため、多くの人を感染後すぐに隔離・治療することが可能となった。 同国では30万回以上の検査を実施し、1人当たりの検査率はアメリカの40倍となっている。

「検査は早期発見につながり、さらなる拡大を抑制し、またウイルス感染が判明した患者を早く治療することが可能となるため、中心的な位置づけとなるものだ」と、韓国の外務相カン・ギョンファはBBCに語り、検査は「わが国の非常に低い死亡率のカギでもある」と述べた。

韓国は時にエピデミックを回避できたように言われるが、数千人が感染しており、政府は当初、現状に甘んじているとのそしりを受けていた。政府の検査に対するアプローチは、すでに進行中のアウトブレイクを駆逐するように設計されていた。

病院やクリニックがキャパオーバーにならないよう、当局は可能な限り多くの人を、可能な限り早く検査できるよう設計された検査センターを600カ所開設した。医療従事者の安全を確保するために接触を最小限に抑える狙いもあった。

50カ所のドライブスルー検査施設では、患者は車に乗ったままで検査が受けられる。患者は質問票を渡され、遠隔体温スキャンと喉の検体採取を行う。このプロセスは10分程度かかる。検査結果は通常数時間で上がってくる。 

いくつかのウォークイン型施設では、患者は透明な電話ボックスのような個室に入る。医療従事者は個室の壁に組み込まれた分厚いゴム手袋を使って喉の検体採取用の綿棒を手渡す。

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