「RAV4」発売から1年、最も売れてるSUVの通信簿 20~30代の若年層にもヒットした理由とは

拡大
縮小

このイメージの変化は、ある意味で当然のことだろう。なぜなら新型RAV4のパワートレインは、2.5リッターのガソリン・エンジンと、2.5リッターにモーターを加えたハイブリッドの2つ。エンジン部分が同じ2.5リッターなのだから、モーターがあるだけハイブリッドがパワフルなのは当然のこと。

しかも、ハイブリッドのほうが燃費はよいのだから、販売比率が高まるのも理解できる。パワーを求める人、燃費を求める人の両方にアピールできたことも、北米でのRAV4の成功の理由だろう。

本当の勝負は2020年になるのか

デビューから1年のRAV4の通信簿は、大いに満足できるいい内容と言える。しかし、今後も、そのままいい状況が続くのかは、また別の話だ。

日本国内市場を見ると、「ライズ/ロッキー」という強烈なライバルが登場している。トヨタとダイハツが共同で販売する小型SUVだ。

「ライズ」は2019年11月に発売開始された(写真:トヨタ自動車)

ライズ/ロッキーは1リッターのターボエンジンを搭載するクルマ。サイズ的にはA~Bセグメントあたりになり、DセグメントのRAV4とは、相当に大きさが違う。

しかし、クラスが違うとはいえライズ/ロッキーは同じSUVとなり。それでいて、その売れ行きは驚異的だ。なんと登場した2020年1月はライズが1万0220台、ロッキーも3153台を販売。ライズは「カローラ」や「ノート」も押しのけて、乗用車ブランド通称名別順位の1位を獲得してしまったのだ。

SUVが1位を獲得するのは、2017年4月のC-HR以来となる。さらに2月もライズが9979台で連続して1位を守った。ロッキーは3411台だ。

このライズ/ロッキーの大ヒットがRAV4の販売に悪影響を及ぼすとは思わないが、それでもインパクトという点では、RAV4のヒットの印象が薄れてしまう。また、世界的なパンデミックに突入した新型コロナウィルス騒ぎが、北米や日本の新車販売に影を落とすのも避けられないだろう。

振り返ってみれば、RAV4は日本で4代目モデルが発売されないなど、浮き沈みの多いモデルである。“日本でも世界でもヒットしてよかったね”で、終わりたいものの、販売の現場は、これからが本当の勝負のはず。ある意味、気の毒ではあるが検討を祈るばかりだ。

鈴木 ケンイチ モータージャーナリスト 

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

すずき けんいち / Kenichi Suzuki

1966年生まれ。茨城県出身。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。レース経験あり。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT