「RAV4」発売から1年、最も売れてるSUVの通信簿 20~30代の若年層にもヒットした理由とは

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では、新型RAV4の北米市場での成績はどうであったのか。北米で現行となる新型RAV4が発売されたのは2018年12月。つまり、2019年の販売を振り返ればよい。

そこでの成績はどうかといえば、年間44万8068台でランキング4位。しっかりと数字を伸ばしている。ジャンプアップはできなかったものの、順調な伸びを見せたことに、トヨタの関係者は胸をなで下ろしたことだろう。

20~30代の若年層にもウケるデザイン

日本国内だけでなく北米でもヒットした新型RAV4とは、どのようなクルマなのか。ひと目でわかる特徴は、そのアグレッシブなデザインだ。

新型「RAV4 Adventure」(写真:トヨタ自動車)

先代までのRAV4は、いかにもトヨタ車というプレーンな印象であった。ところが、新型RAV4は、大きなオクタゴン(八角形)のグリルを持つ、アグレッシブな顔つきとなった。端的に言って“いかつい”のだ。そして、このデザインが高評価を得ている。

主戦場となる北米では、すでに同様のオクタゴンのグリルを持つピックアップトラック「タコマ」が人気を集めており、「4ランナー(ハイラックスサーフ)」のグリルもオクタゴンだ。そうしたトヨタSUVの流れを知っている北米の人からすれば、新型RAV4の顔つきは受け入れやすいものだったのだろう。

そして日本でも、この顔つきが「SUVらしい力強さと洗練さを融合したデザイン」として好評だという。

これはRAV4の国内発売1カ月後に出たトヨタからのリリースに「主な好評点」として紹介されている。リリースの内容は、発売1カ月で月販目標(3000台)の8倍となる約2万4000台を受注したというもの。ちなみに予約の4割が20~30代という若い層。つまり若い層にもデザインが受けている。

また、好評点には「3種類の4WDシステムの優れた走行性能」もある。

トルクベクタリング機構の作動イメージ(画像:トヨタ自動車)

RAV4は、後輪の左右のトルクを独自に働かせて、より曲がりやすくする「ダイナミックトルクベクタリングAWD」を世界初採用した。また、従来どおりの4WDシステムも用意するなど、4WDの充実度も売りの1つ。実際に、発売1カ月で予約した人の9割が4WDを選んだという。これもFFも選べる最近のSUVとしては珍しい現象だろう。

さらに北米では、新型RAV4によってハイブリッド車のイメージが変化したという。

2020年2月のトヨタの決算発表の場で、副社長のディディエ・ルロワ氏は、「RAV4ハイブリッドにパワフルな印象を持つお客様の比率が、27%から38%まで伸びました。RAV4ハイブリッドの販売も伸び、現在のRAV4モデルでは、ハイブリッドの占める割合が25%まで向上しました」と説明した。

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