JAL国内線、6年ぶり値上げ 円安と燃油費増で15年3月期は減益に

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3月26日、JALは、2015年3月期の純利益が1150億円になる見通しと発表。写真は羽田空港で昨年2月撮影(2014年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 26日 ロイター] -日本航空(JAL)<9201.T>は26日、2015年3月期の業績予想を発表した。売上高に相当する営業収入は14年3月期見込み比4.5%増の1兆3500億円、営業利益は同11%減の1400億円、純利益は同22%減の1150億円を見込む。

国際線の強化などで増収を想定するものの、円安基調による燃油費増や他社との競争激化により減益となる見込み。

15年3月期の業績予想は、17年3月期を最終年度とする中期経営計画の見直しの一環として開示した。16年3月期以降の業績予想は公表していない。植木義晴社長は同日会見し、15年3月期を「新たな成長に向けた準備をする期間」と位置付け、16年3月期以降は増収増益を目指す、と説明した。

植木社長は、羽田空港の昼間時間帯の国際線発着枠が全日本空輸(ANA)へ優先的に配分されたことなどを踏まえ、今後も「今まで以上に厳しい競争環境が想定される」と指摘。ANAへの優先的な配分に伴う営業利益のマイナス影響額は、当初は160億円を想定していたが、深夜時間枠の羽田―ベトナム・ホーチミン線の新設などにより、「100億円程度におさまる」という。

<国内線を平均1.5%値上げへ>

7月4日から10月25日搭乗分の国内線の一部運賃を値上げすることも発表した。燃料費高騰によるコスト増を自助努力でまかなえきれない部分を補うためで、値上げ幅(消費税率引き上げの転嫁分を除く)は前年同期比で平均1.5%程度となる。国内線の値上げは6年ぶり。

自己資本比率は14年3月期末で51.6%、15年3月期末で52.1%となる見通しで、17年3月期末に50%以上とする中計目標達成に向けて、今後も50%以上を「キープしていきたい」(植木社長)という。また、自己資本比率50%の達成を前提に20%とした配当性向の今後の見直しに関しては、「十分な財務基盤が整ったときに、もう一度検討する」(同)との考えを示した。

一方、地方路線を中心に運航する全額出資子会社のジャルエクスプレスを10月1日付で吸収合併することも発表。吸収合併により、「数億円規模のコスト削減が見込める」(乘田俊明常務)という。

(白木真紀 編集:田中志保)

*内容を追加して再送します。

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